sat's blog

2012/02/22

文藝春秋 文春文庫 や-22-6~9 『運命の人(一)~(四)』 山崎豊子 著 を読む

本著は2005年から2009年にかけて「文藝春秋」誌で連載され、2009年に単行本として刊行されたものを2010年に文庫本として刊行したものである。

この作家は現実の事件を取材して小説として再構築する手法を多用することから、関係者の間に議論を巻き起こすことがあるが、作家が問題意識をもった事件を世に問うのには効果的な方法であろう。
本作品で取り上げられたのは「外務省機密漏洩事件」であり、近年研究者の手によって密約の存在が確認されたものである。
国家が国民の知る権利を奪い、重要な密約を公にした新聞記者を社会的に抹殺していく恐ろしさと汚さがよくあらわされている。

しかし、これは小説でありノンフィクションではない、そこのところを読み違えると国家権力の思う壺である。

この作家、高齢ではあるものの勇気ある巨大な権力の暴走を批判し続ける姿勢は今後とも続けていただきたいものだと思う。
(AA)

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