sat's blog

2008/12/19

SiGnal 『追憶の夜行列車Ⅱ さよなら〈銀河〉』種村直樹 著を読む

種村直樹氏から新刊の『追憶の夜行列車Ⅱ さよなら〈銀河〉』にサインしたものをいただいた。
誠に光栄至極である。
早々に読書計画を変更して読み出すことにした。

出版社「SiGnal」は「小社は、鉄道著作で知られるレイルウェイ・ライター種村直樹さんの書籍を出版するとともに…」(オフィシャルWebより)と明記してあるとおり種村直樹氏の今は絶版になったり、手に入りにくくなった書籍を再編集して出版している。
あまり小さな書店では見かけることは少ないのだが、種村直樹氏の作品を読み直したいと思っている読者にはありがたい出版社である。

「○○○○様 We Love Train Travel! 2008.12.15 種村直樹」とサインしていただいた。
「I」ではなく「We」としていただいた気持ちが大変に嬉しく、またありがたいと思った。

本の内容は、1994年から2001年までの『鉄道ジャーナル』誌に掲載されたルポルタージュに、松本典久氏との対談「〈銀河〉が駆けた日々」(進行はSiGnalの富田康裕氏)である。

皮肉なことに、「富士」「はやぶさ」の来春のダイヤ改正での廃止が発表され、“追憶”が夜行列車、急行列車にとって現実のものとなってきてしまっている現状に寂しさを感じながら読み終えた。

種村直樹氏は故宮脇俊三氏、川島礼三氏と共に鉄道界のビッグネームだが、お付き合いをいただいているということを抜きにしても一番親しみがあり、今後のますますの活躍を念じて止まない。

種村直樹氏に「最近は共通の思い出になるような列車が少なくなって寂しいですね」と話したことがあるが、JR各社の今の方向はまさにそれである。
かろうじて残っている「北斗星」「カシオペア」「あけぼの」「北陸」「トワイライトエクスプレス」「日本海」だっていつ廃止になっても不思議ではない状況にある。
「ムーンライトながら」「ムーンライトえちご」も非定期列車化されてしまった。
急行列車も事実上全滅状態である、「はまなす」「能登」「きたぐに」「つやま」しか残っていない。
たったの4本である。
「民営」化されたJR各社にとっては、儲からない列車は邪魔でしかない、とでも言っているようである。

著書を読みながら、種村直樹氏の言う「選択のできる列車」を残す努力が今のJR各社からは欠落している、と痛感した。
“お客様”の集まるイベント列車には積極的であるが、“記憶に残る列車”には冷たいとしか思えない。
鉄道博物館の集客力を見るまでもなく鉄道好きはまだまだ多いのだが、本当に大切にされているのだろうか。

悲しい、原稿が書かれた時代から15年~7年経って楽しめる鉄道旅がだんだんとできなくなっているのを実感してしまった私がそこにいた。

(A)

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