sat's blog

2009/01/14

中公文庫『脳死再論』立花隆 著 を読む

とりあえずまとめ買いした立花隆氏の著書の最後である。
署名からもわかるとおり、前著『脳死』の続編と言うか、後半と言うか、一体のものといっても良いと思う。
『脳死』から一貫して立花隆氏は“脳死”の要件として「器質死」を求め、「機能死」を批判している。
この点では、というか『脳死』『脳死再論』で展開する立花隆氏の論理には全面的に賛同できる。

参考資料として『脳死および臓器移植についての最終報告』が掲載されているが、“頭の良い医師”の展開する「機能死」を「脳死」とする論理展開を批判し危険性を声高らかに明らかにする洞察力は素晴らしいと思う。
一見「脳死」であると思われる「機能死」が本来の死でなく、脳内には意識が残っていたらと考えると非常に恐ろしく感じた。
できうるなら「機能死」を「脳死」であると論理展開する医師たちの言い分を紹介し、それに対し「脳死」は「器質死」でなければならないという構成であればもっとわかり良くなったのではないかと思う。

『脳死』『脳死再論』を読んで己を含む死を真剣に考えさせられた、労作である。

(A)

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