sat's blog

2009/07/20

朝日新聞社 朝日文庫『子供たちの復讐』本多勝一 編 を読む

本著は1979年に上下巻の単行本として発刊され、文庫本上下巻(第1版)として1986年に、文庫本合本(第2版)として刊行された。

本書は重い、非常に重い。
しかし、この編者は重要な問題を見極める目を持っていると思う。
ほぼ毎日、新聞紙上に載っている記事の中からこの日本にとって重要な問題を取り出し、深度化していく手腕は見事である。
また、理論だてがきちんとできているので、非常に読みやすい。

ジャーナリストたるこの編者はフィクションの手法を採らないから、本当に重い。
この日本という国はどうなっていってしまうのだろうかと、絶望的な気分になってしまう。
編者が悪いのではない、こういった問題を起こす原因を作りだしている日本という国のシステムが悪いのであるが。

編者にはもっと新聞記者として働いてもらいたかった。
現在は『週刊金曜日』の編集委員として活躍されているが、やはり主舞台は新聞であろう。
新聞社社員としては「定年」があり、第一線から離される事は“やむを得ない”のだが。
「フリー・ジャーナリスト」という選択肢があろうが、影響力の大きさはマス・コミニケーションと比較にならない。

編者は日本で有力な良質なジャーナリストだと私は思うのだが、編者が属していた新聞社でははたして主流だったのかが問題である。
その新聞社は“進歩的新聞社”と知られているが、果たして編者のような新聞記者をどのように扱ってきたのだろうか。
一種の象徴、スケープゴートとして、「進歩的なんですよ」との姿勢を取っているように見せていただけではなかったのではないだろうか。

良質なジャーナリストは、どうしても反体制にならざるを得ないと思う。
ということは御用マス・コミニケーションには登場することが難しいということで、“儲からない”ということである。
こういった状況を解決するには、「一般大衆」が目を覚ます必要があるのだが、期待できるのだろうか。

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