sat's blog

2006/02/03

“廃墟”というものについて


丸田祥三著 鉄道廃墟 を読んだ。

廃墟とは人間の作った構造物等がうち捨てられ朽ち果てている状態を言うのであろうか。
とにかくそこには人間の活動があった、その証である。
数年前のものから数十年前のものまで、鉄道に関する廃墟を数多く収集している。

全国各地から収集されているが、どちらかといえば地方が多い。
やはり大都市部、特に首都圏では新たな開発が行われるから廃墟は残らないのだろう。
廃墟はその土地そのものの存在を含めて忘れ去られる、ということか。

廃墟はブームにもなった。
いくつか廃墟ブームにより有名になった地も紹介されている。
なぜ人は廃墟に関心を持つのだろう。

私も建設に関わる者だが、廃墟になりそびれたものはあるが廃墟になったものには幸い関わっていない。
次の目的のための破壊、それは日常である。
建設部門にいると物作りばかりに目が行くものである、しかし、建設とは破壊でもあるのだ。

霞ヶ関ビルの建設が進むころ、私の恩師が面白いことを言った。
「わたしはあのビルをどう壊すのか見てみたい」、へんなことを言うなとそのときは思った。
今では私もそれを楽しみにしている。

構造物は丈夫だ、だが朽ち果てるのでなければ破壊される。
破壊から免れたものが廃墟なら、後の世に現世の人たちの営みを残すのは大都会ではなく地方の廃墟なのかもしれない。

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