sat's blog

2009/03/05

朝日新聞社 朝日文庫『日本環境報告』本多勝一 著 を読む

本著は作者が朝日新聞や朝日ジャーナル、その他の雑誌や単行本などに発表したルポルタージュを編集し、1992年に発刊されたものである。

今は2009年であるから政治状況も大きく変わっており、本著の内容からずれてきているものも多い。
しかし、本書を読んでいると政治権力や大企業、大多数の無関心な日本人の意識が大きく前向きに変わってきたとは思えないのだ。

本著は文庫本でありながら657ページという大著である。
その内容は大企業にいいように食い物にされ、官僚の無知・自己保身のためにずたずたにされていく日本の豊かな自然の姿をリアルに報告する。
その内容は救いようがない。
しかし、その救いようのない日本の姿を推し進めたのは結局のところ無知で無責任な日本人なのだ。

報道などで破壊され行く姿を見ればほとんどの者が「酷いねぇ」というくせに、スキーだ釣りだとなればそこにある自然破壊から目をそらせてしまうのである。
目の前にエサをちらつかされると飛びついてしまう、日本人の意識などそんなものなのだとの著者の叫びが聞こえてくるようだ。

本著は古書で購入した、レポートの資料にでもしたのであろう。
それがわかるのは、657ページの最後の最後、あとがきにのみ罫線が引かれ、コメントが書き込まれてあったからだ。
ああ、こういう著書を買うのなら全部しっかりと読んで欲しい。
あとがきの数ページを読んでレポートを書くような貧困な意識の学生が、将来大企業なり官僚機構に所属して日本をずたずたにしていくのではないのだろうか、そんな気がしてならない。

(A+)

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