sat's blog

2009/02/24

筑摩書房 ちくま新書『感じない男』森岡正博 著 を読む

本著は小説ではない、生命学・哲学・科学論をテーマに研究している大学教授の著書である。

本著は男性なら読む者を困惑させ、恥ずかしさを感じるだろう。
「ミニスカート」「制服」「ロリコン」だの、世の中からスポイルされかねない題材に一人称で検証を行っているのだ。

日本人にとって、特に男性にとっては自らの性はタブーとされてきたし、学生時代の猥談を除けばあからさまに語られることはなかったと思う。
そういった題材に、事もあろうか自らを検証材料に使っていくことに勇気がいったことだろうと思う。
本著の中でも触れられているが、著者が自らの姿勢を明らかにしながら講演会などで語っていても、“変態”を見るような反応もあったようである。

私は自分のことをとてもじゃないが話す勇気はない。

しかし、科学者、研究者の立場として第三者的立場も取れず、不特定多数の検証もし得ないものを扱うのはどうなのだろうかという気持ちもある。
自分はこうだから他人もこうだろう、という論理展開をしているわけではないが、では第三者はどうなのだろうか、検証する方法があるのだろうか。
事が事だけに、調査をするとしても正確な調査は難しいだろう。
「あなたはロリコンですか」、こう問われて誰が“本音”を語るだろうか。
一歩間違えれば変態、痴漢呼ばわりを受けることは間違いない。

だから一人称で語るしかなかったのだが、そこにまた限界が生じているのは事実だと思う。

が、しかし、勇気ある著者の、有意義な文献であることには間違いはない。

(A+)

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