sat's blog

2009/08/19

岩波書店 岩波新書(新赤版1143)『仕事道楽 スタジオジブリの現場』鈴木敏夫 著 を読む

本著は2008年に刊行された。

仕事を選んだ時、いや、仕事を選ばされた時、そのしょくがへのおもいはどうだったのだろうか。
人生で1回だけ、その当時は再就職など考えていなかったから間違うことが許されないたった一度の選択だった。
その結果、テレビジョンに出演したり、単行本に本名が出たり、いろいろな経験をし、組織というものの下劣な一面を見ることになってきた。

本著の作品はたぐい稀な栄光の歴史である。
作者がどんなに苦労を述べようと、“好きなことをやってきた”人間に対してはやっかみしか思い浮かばない。
うらやましいのである。

自分自身、どこまで能力があるのか、冷静な自己判断は無理というものであろう。
しかし、仲間たちを考えるに、すべて無能力者であるという今の「会社」の厚顔無恥たる判断には異議を唱えざるを得ない。

とすれば、著者がいくら苦労を並べたところで“正当以上な評価を受けた者”がどんなに苦労をしたと言ったと言っても、“うらやましい”限りなのである。

才能があっても恵まれない待遇に甘んじている人は腐るほどいるのである。
マルクスやエンゲルスがいくら理想をそらんじても現実はそうではない。

いま、日本という小国では「政権選択を問う選挙戦」が闘われている。
しかし、人の尊厳を考えるならばそんな小さなことでいいのだろうか。
人はその人の能力によって判断され、評価され、批判される。
そんな文化的な国家はいつできるのであろうか。
(A)

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