sat's blog

2009/11/30

新潮社 新潮文庫 や-5-28 『沈まぬ太陽(三) -御巣鷹山篇-』 山崎豊子 著 を読む

本著は「週刊新潮」で連載され、1999年に単行本で刊行され、2002年に文庫本として刊行された。

ますます止まらなくなってしまった。
本巻はたった1日で読破してしまった。
現実の日本航空123便、御巣鷹山事故をベースにしているこの巻は、読むのを休むことを許してくれなかった。
出社時の電車の中、昼休み、退社時の電車の中、家の風呂場で読み終えてしまった。
まるで御巣鷹山で亡くなった520名の悔しさが乗り移ったような作品になっている。

この作品の主人公、恩地元のモデルとなった故小倉寛太郎氏が「お客様係として対応に当たっていない」と批判する向きもあるようだが、まったくナンセンスな批判である。
「恩地元=故小倉寛太郎氏」なのではなく、恩地元=故小倉寛太郎氏+αなのである、当時の御巣鷹山には多数の恩地元がいたのである。
それを考えず、いたずらに「恩地元=故小倉寛太郎氏」と矮小化してしまうのは如何なものであろうか。
日本航空や第二労働組合、または彼らの支援者がいまだに反省もせず論理展開しているように思えてならない。

故小倉寛太郎氏にはご存命中にお会いする機会はなかったが、小説の主人公、恩地元は小説であるが故にヒーローとして記述されているのかもしれない。
しかし、それを理由としてこの作品が「許せない作品」だとか「嘘っぱち」であるとする論調には決して同調はできない。
そういう論調を展開するものたちに、逆に胡散臭さを感じ得ないのである。
(A++)

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