sat's blog

2006/02/11

ホンモノの料理

母と妹を連れて食事に行った。
ちょっと豪華な釜飯か海鮮丼でいいか、と考えていたがネットを調べていて気が変わった。

「和食創作料理」「本格的料亭の味」「元料理長」このキーワードに目が止まった。
賭けてみるか、そんな気になった。

その店は小さな店だった、おせいじにも綺麗とはいいがたい。
店の主人の第一印象も気難しそうに見えた。
「餅が黒こげだ」、オーブンを見て母が言った。
外したかな、そんな気が過ぎった。

ところがどうだ、大当たり、心で叫んだ。
元大手旅館の料理長の腕に狂いはなかった。

一品目は鰆のたたき、カルパッチョ風。
鰆への火の通し方が秀逸で絶品であった。
このドレッシングはどうやって作るのかの問いに、「同じものはできないねぇ、和食なんざ毎日変わるもんさ」
目から鱗が落ちる言葉だった。

二品目はいっぱいの茸とつみれの入った雑煮。
餅を食べてわざと黒こげにした意味がわかった。
こげは包丁でざっと取り除いてあった。
無味無臭の餅に香ばしさが加わっていた、うまい。

三品目はトマトの煮付け。
いつもの私ならこの組み合わせは見ただけで拒否ものである。
無条件拒否が無条件降伏に変わった。
この組み合わせを認めるしかない。

四品目は筍とごぼうの煮物。
ただ長い時間煮れば柔らかくなるものじゃない、柔らかいだけでもいけない。
筍は自宅で取れたものだという。

五品目はうどとマンボウのモツの刺身の味噌和え。
味噌には柚子がわずかに入っているのはわかったが、微妙なところがわからない。
素人と玄人の違いである。

六品目はご飯のシラスの佃煮のせ。
生シラスを煮たのだろうことはわかったが、もうお手上げである。

久々にホンモノの料理を堪能した。
マニュアルに従った綺麗で不味くはない料理はよくお目にかかる。
なかなかホンモノの料理にたどり着くことはない、だが今日は違った。

“和食創作料理”なのだそうである、だとすれば主人は新しい作品作りを続けるのだろう。
また来よう、そう思える店を一軒見つけた、幸せな日である。

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