sat's blog

2009/02/10

平凡社新書『デジカメ時代のスナップショット写真術』大西みつぐ 著 を読む

本著は2002年に発刊されたものであるので、デジタルカメラ時代としては古い本である。
しかし、書名に「デジカメ時代」と書かれているからといっても、内容はスナップショットを中心にしているので思ったほど古臭くはなっていなかった。
第4章を除けば一般の写真入門書と言ってもいい。

ここ10年でデジタルカメラは急速に進歩し、また急速に安くなってきた。
フィルムカメラの製造台数を越えたばかりか、フィルムカメラを駆逐し、いくつかのメーカーをカメラ製造から撤退させた。
しかし、そういった現象を除いて考えてみれば、フィルムがデジタル素子に変わっただけのことであり、撮影者の意図する画像を記録することには変わりはない。

フィルムカメラの時代からなるべくたくさんのショットを撮影するようにしてきたが、デジタルカメラになってからはその障壁が低くなった。
また、撮影してすぐに画像を確認できるため、たくさんのショットを撮ることに抵抗がなくなり、結果として写真上達への道が近くなったのではないだろうか。

もちろん、フィルム写真は長いこと改良を重ねられてきたため、まだデジタル写真の質が追いついていないと考えておられる向きの方もおられると思う。
しかし、5年、10年経ったときにはどうなっているだろうか。
2千万画素オーバーのフルサイズセンサーを使ったデジタルカメラが(価格はこの際除くとして)容易に手に入れることが出来る時代になったのだ。
プリンタの改良も目を見張るものがある、銀塩写真にデジタル写真が並び、そして抜いていくことは時間の問題だろう。

本著は書名を『デジタル時代のスナップショット写真術』としてあるが、『スナップショット写真術』とすべきであろう。
それだけ写真への一般的な内容を解説しているのである。
「デジタルカメラ」そのものの解説は雑誌やムックに任せていれば良い。
「写真にどう取り組んでいくのか」をしっかりと記した本著のような単行本が多く出てくることを望むものである。

(A)

0 件のコメント:

コメントを投稿

登録 コメントの投稿 [Atom]



<< ホーム