sat's blog

2008/10/01

『20世紀少年』『崖の上のポニョ』を観る

『20世紀少年』『崖の上のポニョ』を見に行った。

『20世紀少年』は「週刊ビックコミックスピリッツ」で連載された浦沢直樹氏の「20世紀少年」「21世紀少年」の映画化作品である。
単行本で24巻の壮大なスケールの物語を3部作で制作するという。
原作でもかなり多くの謎や仕掛けを、また多数の登場人物をどうするのだろうかと心配しつつ観ることになった。
賛否の分かれるところであろうと思うが、きわめて原作に忠実にキャストを選び、脚本を書き、カメラアングルをとっている。
これでは原作を超えることはできないのではないか、との思いが頭をよぎった。
第1部を観る限り、第2部ないし第3部の予告編と化してしまったことは否めない。
また、原作に忠実であるがゆえに原作を読んでしまった者にとっては原作をどれだけ忠実に再現しているかだけが関心の中心になってしまっている。
原作からのある程度の離反、新解釈を入れるべきではなかったのだろうか。
原作付作品の難しいところである。

(A-)


『崖の上のポニョ』はこれとは反対に宮崎駿氏のオリジナル作品であり、原作との比較が入る余地はない。
宮崎駿氏がこの作品を「子供に見せる作品を作ろうと思った」との発言をしたとおりストーリーは単純であり、また悪人が出てこないのが特徴である。
しかし、はたしてこの作品を子供たちが評価するであろうか、作品を作るということは大変なことだな、と思った。
ストーリーが単純という点で宮崎駿氏の作品には『となりのトトロ』があるが、『ポニョ』よりも『トトロ』がオバケであるということだけで子供を惹きつけるのではないだろうか。
そう、子供の視点でもって『ポニョ』は『トトロ』を超えたのだろうか、という疑問が出てくる。
『ポニョ』は確かに単純化してあるが“約束事”が多く、ちょっと考えなければならないため子供には素直に楽しめないのではないか。
また、『ポニョ』のキャラクターの魅力といえば「ポニョ」くらいだろう、『トトロ』には「トトロ」「小トトロ」「真っ黒くろすけ」「猫バス」といった子供受けする魅力あるキャラクターが出てくる。
『ポニョ』がそれでは駄作か、と言えばもちろんそんなことはない、ただ、宮崎駿氏が狙った年齢層に合っているのかということなのだ。
これまでの宮崎駿氏の作品と言えば“浮遊感”が重要であったが、『ポニョ』では波がそれに代わっている。
リサのドライビングテクニックも代わるものだろう、しかし、子供受けするものなのだろうか。
今回のジブリ作品は前回の失敗に続き、ちょっと外してしまったのかな、というのが一見しての感想である。

(A)