sat's blog

2009/12/28

朝日新聞出版 『アサヒカメラ12月号』を読む

“積ん読”の書籍を調べていると、本書が出てきた。

私はキヤノンを主力に使っており、ニコンは所持していないからあまり興味がわかなかったのかもしれない。
ということは、やはり『朝日カメラ』のカメラ解説を楽しみにしており、写真作品はどうでもいいことなのだろうか。
「写真上達のため」に購入しているはずの『朝日カメラ』、意味合いが違ってしまっているようだ。

しかし、グラビアページを見ていても、「これだ」という作品がないんだよなぁ。
(B)

2009/12/27

朝日新聞出版 『アサヒカメラ11月号』を読む

ちょっと遅いと言うか、しばらく『朝日カメラ』について書くのを忘れてしまった。

まぁ、もっとも『朝日カメラ12月号』は既に買っているが、『朝日カメラ11月号』の完読はまだだったから書けずにもいたのだが。

もう少し上手くなりたい、インスピレーションを与えてくれる写真が見たいと思い定期購読をしているのであるが、ついつい新しいカメラのレビュー記事に目が行ってしまうのは反省する必要がある。
しかし、私の目を引き付けてくれる写真が少ないのも原因のひとつではないかと私は思うのである。

カメラ雑誌は何誌か出ているが、思い切ってカメラレビューを切り去ってしまって、作品を載せるだけの写真雑誌が出てもいいのではないかと思う。
フォト・ジャーナリズムに限れば『DAYS JAPAN』がある、できないことはないのである。

『朝日カメラ』がそんな方向に進んでくれれば、写真層への刺激にもなるだろうと思うのだが。
(B)

2009/12/26

角川書店 Kadokawa Comics A KCA210-2 『ぷちえう゛ぁ せかんどの巻』GAINAX・カラー 原作 濱元隆輔 漫画 を読む

本著は「月刊少年エース」に連載されたものを2009年に単行本として刊行されたものである。

この作品もまた一つの『新世紀エヴァンゲリオン』であるが非常にデフォルメされており、ドタバタコメディとなっている。
楽しくないかと言えば、まあそれなりに、という程度であるが…。
(B)

角川書店 ASUKA Comics DX 『新世紀エヴァンゲリオン学園堕天録 4』GAINAX・カラー 原作 眠民 漫画 を読む

本著は2009年に「ASUKA」に連載されたものを、2009年に単行本として刊行したものである。

本作品ももう一つの『新世紀エヴァンゲリオン』である。
少女マンガ誌に連載されたという「選択の誤り」で、比較的短期で連載終了したのではないかと思う。
また、一番『新世紀エヴァンゲリオン』から離れていたのではないかとも思う。

少女マンガ誌に絵柄はともかく、SFを持ち込んだ、勇気ある決断だったのだろう。
その結果はどう総括されたのか、そちらに興味がわく。
(B)

角川書店 Kadokawa Comics A KCA148-9 『新世紀エヴァンゲリオン碇シンジ育成計画 09』GAINAX・カラー 原作 高橋脩 漫画 を読む

本著は2008年に「エースアサルト」、2009年に「月刊少年エース」に連載されたものを2009年に単行本として刊行したものである。

『新世紀エヴァンゲリオン』の派生作品であるが、さすがに9巻目となるとマンネリ気味で飽きてきた。
そう、『新世紀エヴァンゲリオン』そのもの、いわゆる「貞本エヴァ」が本当は読みたいのである。

設定も学園コメディにしてしまってあるが、『新世紀エヴァンゲリオン』の名を背負っていれば大きくは逸脱はできないだろう。

さて、この“サブストーリー”はどこまで続くのだろう、そして「貞本エヴァ」の最新刊はいつ読めるのであろうか。
(B+)

講談社 ヤンマガKC1854 『イニシャルD 40』しげの秀一 著 を読む

本著は「ヤングマガジン」で連載されたものを2009年に単行本として発刊したものである。

公私にわたり疲れているせいでもあると思うのだが、この作者も相当疲れているのではないだろうか。
“敵”は次から次へと出さねばならない、マシンの性能も“敵”の腕も上がっていく一方であるのに、主人公たちは何かと理由をつけて勝ち続けなければならない。
「ドラゴンボール現象」そのものである。

冷静に考えてみりゃ、いくらマシンをいじったところでも25年以上も前のクルマが今のクルマに勝てるわけがあるものか。

そろそろ「AE86」をあきらめるか、連載を終了するころあいだろう。
作者もそこのところは良くわかっているのだと思う。
(B+)

2009/12/22

集英社 QUEEN'S COMICS 『寿町美女御殿 4』山下和美 著 を読む

本著は2008年から2009年にかけて「YOU」「別冊YOU」に連載されたものを2009年に単行本にしたものである。

この作家の代表作である『天才柳沢教授の生活』『不思議な少年』と比べ、コミカルな比重が高い。
その“新境地”を以下に拡げて行くかに期待したのであるが、なかなか難しかったようであり、本巻が最終巻となってしまった。
魅力ある登場人物が充分に活躍しないまま物語が終結するというのは残念である。
何よりも残念なのは作家自身であろう。
「5世代にわたる女系家族」という設定が無理過ぎたのであろうか。
いや、この作家の力量からしてそんなことはないだろうと思う。
(A)

講談社 アフタヌーンKC615 『新装版 ヨコハマ買い出し紀行 4』芦奈野ひとし 著 を読む

本著は1997年から1998年にかけて連載されたものを単行本化し、2009年に新装版として単行本化したものである。

この作品、作品の中でゆっくりと時間が流れて行く。
「ロボットの人」と「人間」の時間の流れの違いが徐々に拡大を始めている。
こんなSF作品は始めてである。
なんか不思議な世界観をかもし出す、不思議と繰り返しくりかえし読んでしまう不思議な作品である。
(A+)

講談社 モーニングKC1855 『ジパング 43』かわぐちかいじ 著 を読む

本著は2009年に「モーニング」誌上で連載された作品を2009年に単行本として発刊されたものである。

本巻がこの作品の最終巻となる。
物語がものすごい勢いで拡がっていったとき、この作家はどうこの物語を収束させるのか、期待半分、不安半分であった。
“タイムスリップもの”としては「定番」と言えるような終わりに強引に持って行ったな、というのが偽らざる感想である。
何か圧力でもあったのであろうか、意に反して無理に終わらせたような気もしないでもない。

この作家の次の作品を読むのかどうかはわからない、未定である。
面白そうだったら読むし、関心がわかなければ読まないだろう。
まぁ、当たり前のことなのであるが。

スケールの大きな作品は終わり方が非常に難しい。
そんな気にさせた最終巻であった。
(B)

2009/12/17

芳文社 Howbunsha COMICS 『ムショ医 女子刑務所のカルテ 2』佐藤智美 著 を読む

本著は「週刊漫画Times」に連載されたものを2009年に単行本化したものである。

1巻と同時に届いたので、同時に読んでしまっているので新たな感想を書くのはちょいと難しい。

本書には、早乙女主任刑務官の笑顔のサインイラストが…。
作品中では笑顔を見せない彼女の笑顔も「なかなかいいわい」、とまた「キリン ハートランドビール」を一口飲むのであった。
(A)

芳文社 Howbunsha COMICS 『ムショ医 女子刑務所のカルテ 1』佐藤智美 著 を読む

本著は「週刊漫画Times」に連載されたものを2009年に単行本化したものである。

サブタイトルにもあるように、女子刑務所内に勤務する非常勤女子医を主人公とした作品である。
偶然にも(?)、作者の夫の佐藤秀峰氏と同じ医療の世界をシリアスに描く作品である。

私がこの作品にであったのは、佐藤秀峰氏の公式webであった。
『ブラックジャックによろしく』『新ブラックジャックによろしく』を愛読していた私がこのwebを訪れ、この作品を知ったのである。

作風は夫婦似ている感じであるが、佐藤秀峰氏が医療問題に深くメスを入れているのに対し、人間描写が中心になっていると思う。
医療の、更には刑務所内の、という舞台設定は人間描写には最適の舞台を見つけたものだと思う。
なかなか力作である、これからの展開を楽しみにしたいと思う。

さて、蛇足であるが、私の手元にある本は肉筆サイン本である。
主人公の「粂川晶」が大きく微笑んでいる。
今、「キリン ハートランドビール」を味わいながら、このサイン本にほくそ笑んであるのである。
(A)

2009/12/14

小学館 SHONEN SUNDAY COMICS SPECIAL SSCS-2109 『アオイホノオ .3』島本和彦 著 を読む

本著は2009年に「ゲッサン」に連載された作品を単行本にして発刊されたものである。

大学時代という時代は自分を過大評価し、無限の可能性を信じた時代であった。
それがだんだんと挫折を味わいつつ、「大人」になっていくのである。

そんな時代を思い出させるマンガである。

この作品には実在の人物がたくさん出てくる。
しかし、フィクションなのであると言う。
事実をフィクションとして再構成したと言えばいいのだろう。

「ゲッサン」というマンガ雑誌がどの年齢層を主要なターゲットにしているのかわからないが、「子ども」には少々重い作品である。
では、「大人」にとってはどうか、これまた学生から社会人への過渡期という重い時代を書いた作品ゆえ、深刻な雰囲気を背負った作品になっている。

『燃えろペン』『吼えろペン』をシリアルにしたストーリー、この作者にしてこういったマンガも描けるのか、と思う。
この時代を冷静に見直すには、私にとってもう少し時間が必要だと思うが、この作家はすでにそこまでたどり着いたのだと思うとすごいことだと思う。
(A)

2009/12/13

エンターブレイン BEAM COMIX 『青い空を、白い雲がかけてった』 あすなひろし 著 を読む

本著は「週刊少年チャンピオン」に1976年から1981年に不定期連載されたものが一度単行本され、長いこと絶版になっていたのであるが、2004年に抜粋されて単行本されたものである。

当時、高校生だった私は、このあすなひろし氏の作品が好きだった。
何よりも絵がいい、ギャグのセンスもいい、そして人間の切ない物語がなんとしてもいいのだ。

整理されていない本の山が偶然にも崩れ、再開したのだ。
ああ、切ない物語、あすなひろし氏は天才である。

いま、芦奈野ひとし氏にはまっているが、「まっ昼間の悲しさ」はあすなひろし氏でなければ描けないのではないかと思う。

書庫を整理すれば、「少年チャンピオンコミックス」が全巻出てくるはずだ。
いっちょ掃除してみるか。
(A+)

2009/12/12

映画『2012』 を観る

この作品はテレビジョンでも紹介されているが、古代マヤ文明の“予言”によれば、世界は2012年に滅亡するのだという。
だから、マヤ文明がこの作品のキーポイントになっているのだと思って楽しみにしていたが、残念ながらそうではなかった。
これでもか、これでもかとCGを使った破壊シーンのオンパレードなのである。
技術的にはすごいのだろうけど、ちょっと食傷気味になった。

で、最後は“ノアの箱舟”、結局はユダヤ教・キリスト教的思考から離れられないのだろう。
(C)

国立新美術館 『THE ハプスブルク 華麗なる王家と美の巨匠たち』 を観る

誘われてこの美術展を観に行った。

中世王族については、日本にしても欧米やアジアの国々にしてもそれほど興味はないのであるが…。

展示されている美術品の品々は観る人が観ればすばらしいものなのだろうが、この芸術品を作り上げる費用は本当は誰が作ったのだろうか、その人たちはどういった生活を送らされていたのか、などつい考えてしまうと素直に鑑賞できないのだ。

時の権力者ばかりに光を当てるのだけではなく、庶民の生活はどうだったのかが知りたい。
へそ曲がりなのである。
(B)

2009/12/11

講談社 『新・貧困なる精神 携帯電話と立ち小便』 本多勝一 著 を読む

本著は「週刊金曜日」などに掲載された随筆などをまとめて2009年に発刊された。

本著の著者、本多勝一氏の著作は昔から読んでいて、私の思考形成に大きな影響を与えたと思う。
理学系大学を出ただけに、理路整然とした著者に記事は朝日新聞社時代から好ましいものと思い読んでいた。
理路整然とした著者の切り口は少しも衰えてはいない、「朝日新聞社」という足かせを外されて生き生きとしているようにさえ思えてくる。

著者のタブーに立ち向かう姿に、権力者側の立場から攻撃が加えられることが多々あるが、著者はそれを誇りとさえ思うことはあれ、攻撃に怯む姿勢は見られない。
ここまで強くなれればいいのに、と何度思ったことだろう。

著者の論調は“跳んだもの”ではなく、当たり前のことをただ単に正直に言っているだけである。
だから権力者にとっては辛いのだろうと思う。

著者には身体、健康と妨害者からのテロに気をつけて、まだまだ頑張って発言してほしいものだと思う。
そうなれば、日和たくなるか弱き私に力を与えてくれるから…。
(A+)

2009/12/07

講談社 KCノベルス 『小説 ヨコハマ買い出し紀行 -見て、歩き、よろこぶ者-』 香月照葉 著 芦奈野ひとし 原作 を読む

本著は、マンガ『ヨコハマ買い出し紀行』のノベライズとして2008年に発刊された。

本著は、マンガ『ヨコハマ買い出し紀行』の世界の約50年後の世界が舞台である。
マンガ『ヨコハマ買い出し紀行』の主要な登場人物は大幅に整理され、「アルファ」「おじさん」「タカヒロ」「ミサゴ」「子海石先生」「アルファー」が登場する。
ネットでは「ココネ」「マッキ」たちが登場しないことに不満を表明した批評もあったが、私はこれはこれで正解だったと思う。
登場人物が多ければ多いほど物語は拡がるが、紙数が限られている作品では妥当な判断だと思う。

新登場人物は「宇布見」「オメガ」、この「オメガ」が語り部となる。
原作の“ふわふら”した感じは残念ながらなくなり、少し悲しい深刻な物語となった。
エピローグをここで紹介するとネタバレとなり、野暮なのでやめておくが、作者の“反省”の現われなんだろうと思う。

しかし、本著を読んで『ヨコハマ買い出し紀行』の全貌の一端がわかったような気もする。
「そうなんだ、『ヨコハマ買い出し紀行』は世紀末のお話だったんだ」と、改めて認識したのである。
(A-)

SME Visual Works Inc. SVWB6049 DVD 『ヨコハマ買い出し紀行』を観る

本作品は2002年に発売された。

前の2作品と違うのは、原作品で私が既に知っているエピソードであるということである。
このDVDを観て思うのは、原作の一話一話は短いけれど、内容は濃い、ということであった。
それほど多くのエピソードを映像化したわけではないのであるが、物足りないのである。
もっと観てみたい、そんな気にはさせてくれた。
(B+)

SME Visual Works Inc. SVWB7121 DVD 『ヨコハマ買い出し紀行 Quiet Country Cafe #2』を観る

本作品は2003年に発売された。

先に書いたものの続編である。
と言っても、原作では連続しているエピソードではない。
一緒に見ていた母が「わからないマンガだね」と言ったのも無理がない。

全体に“ふわふら”した感じは出ていると思うが、それだけが『ヨコハマ買い出し紀行』の魅力だとは思わない。

映像作家にはもっとがんばってほしかった、と思う。
(B)

SME Visual Works Inc. SVWB7120 DVD 『ヨコハマ買い出し紀行 Quiet Country Cafe #1』を観る

本作品は2002年に発売された。

いやいや、『ヨコハマ買い出し紀行』の世界にはまってしまったようだ。
DVDまで買ってしまうとは自分でも思わなかった。
それだけ『ヨコハマ買い出し紀行』の持つ作品の世界観に惹かれたのだと思う。

しかし、DVDは原作のごく一部を映像化したものであるから、「作品を知っている」ことが暗黙の約束になっている。
私は、マンガ『ヨコハマ買い出し紀行』は新装版で出会ったのであり、まだ作品全体の30%しか知らない。
このDVDのエピソードまでは知らないのだ。

原作を読んでいなければわからない、というのは弱点でもあろう。
原作に負けない作品であってほしかったと思う。
(B)

2009/12/03

新潮社 新潮文庫 や-5-29 『沈まぬ太陽(五) -会長室篇・下-』 山崎豊子 著 を読む

本著は「週刊新潮」で連載され、1999年に単行本で刊行され、2002年に文庫本として刊行された。

いや、改めて考えてみても、これだけの大長編小説を一気に読んでしまったものだと思う。
事実を元に再構築された小説だという重みばかりだけではなく、作者の山崎豊子氏の力量なのだろう。

「会長室篇」では政管民の癒着、汚さが暴かれる。
その矛先はその利害を危うくするものには例え経営者であろうと、労働組合の闘士であろうと遠慮なく襲い掛かる。

先にも書いたが、私にはどうしても国鉄の「民営・分割」化の時の重苦しく辛い日々が思い起こされてならなかった。
日本航空は御巣鷹山で世界最大の死亡事故を起こし、JR西日本では列車脱線事故でなによりも貴重な人命を数多く亡くしている。
その後の無反省さは報道で明らかにされてきたとおりである。

しかし、その第四の権力とさえ揶揄されるマスコミも「純粋培養の精錬結託」なものではない。
“公平と平等”の名の下に権力に有利な不公平な報道がまかり通る。

まじめに働いていれば誰にでもわかる「おかしな事」も、“大人の対応”でいずれ忘れ去られていく。
その結果がどうなっているかは明らかであろう。

「青臭い理想論」がなぜいけないのであろうか。
「清濁飲み干す感覚」がなぜトップの立場に立てば求められるのだろうか。

日本という国は国民自らが立ち上がって自らの手に権力を持ったことがない。
「民主主義」を“押し付けられた”のであれ、“輸入”したのであれ、それが日本の政治権力の汚さの原因ならば考えなければならない。
「政治を我が手に」、それがやはり求められているのではないだろうか。
(A++)

2009/12/02

新潮社 新潮文庫 や-5-29 『沈まぬ太陽(四) -会長室篇・上-』 山崎豊子 著 を読む

本著は「週刊新潮」で連載され、1999年に単行本で刊行され、2002年に文庫本として刊行された。

本著では主人公、恩地元が“アカ”のレッテルを貼られたまま部外から招聘された会長に抜擢されて部長として活躍するのだが、政治と会社内の派閥の暗躍にまたもや翻弄されていく。
小説であるからすべて人名は創造されたものであるが、ちょうど国鉄の「民営・分割」化と前後していた時期でもあり、モデルとされた人物は私には手にとるように浮かんでくる。
国鉄の「民営・分割」化の騒動に巻き込まれたものとして、この「会長室篇」はほぼ事実と相違ないであろうと思う。

本来私は「性善説」を信じてきた、いや、信じたいと思ってきた。
末端の管理者にも自らの信念と闘いながら、泣く泣く会社の方針に従ったものも少なくないことはわかる。
しかし、現実に“わるいやつら”のお先棒を担ぎ、労働者を分裂させ、お山の大将として利権を守ることに汲々としている者も見てきた者として、「性悪説」を採らざるを得ない無念さを感じる。

本作品に登場する国見会長のような人物が「民営・分割」化された会社にいても同じようなことが起こったであろうと思う。

日本航空やJR各社、NTT、JTなどなど、いずれも大同小異ではないのか。
官僚にしてもプロパーにしても組織は大きくなればなるほど腐っていくものではないか、そんな気がして絶望感を覚えるものである。

日本航空のおかれた現在の立場、JR西日本の事故後の動き、どれひとつとってみてもこの作品が告発していることとなんら相違がない。

小説という形をとった告発書なのである。
(A++)