sat's blog

2009/04/30

三笠書房 王様文庫『大人もぞっとする初版「グリム童話」』由良弥生 著 を読む

本著は三笠書房より刊行された『大人もぞっとする初版「グリム童話」』を2002年に文庫化したものである。

『初版「グリム童話」』の記述の残忍性は、単行本の発売当時マスコミが報道していたのである程度は知っていた。
童話や民話は生活していくにおいてのタブーや教訓から構成されてきたものが多いので、後に改ざんされたものより初版や古いものの方が当時の考え方がわかって面白い。
本著も残忍さを強調されてはいるが、キリスト教文化のタブーに密接に関連しているのであると思う。
これは日本の物語にも通じるものがある。

欲を言えば初版だけではなく、重版から最終版までの物語の変化を知りたくなってきた。

書名から見ると“トンデモ本”のようにも見えてしまう本ではあるが、なかなか奥が深く面白い本である。
(A)

小学館 ビッグコミックス『ダブル・フェイス18』細野不二彦 著 を読む

またマンガである、とは言っても今月は2冊であった。

細野不二彦氏の作品というか、作風は氏がメジャーに登場してきて以来好意的に見ていた。
しかし、ここ数年はよのなかの裏側というか暗部に光を当てる作品が多く、ちょっと暗いなぁ、と感じることが多い。
しかし、この作家は力があると思う。
様々なジャンルに挑戦して、一定のレベルに持っていくことは容易なことではあるまい。

この作品には大きな一本の謎があり、枝葉がそれを覆い大きな樹木になってきている。
これからも当分続いていくであろうこの作品の次回単行本の発売を待つ私がいるのである。
(A)

2009/04/28

隣家とのトラブル

隣家が改築することになり、私が居眠りしているあいだに隣人が挨拶に来たようである。

隣家とは近接しており、隣地境界線との離隔がどうしても気になってしまう。
我が家周辺は軟弱地盤地帯であり、準防火地区に指定されているのであまり寄せて欲しくないのが本音である。

「大工さんに任せてあるから」ということだったので、職人さんに聞いてみたところ「大丈夫ですよ」と言う。
何が大丈夫なのかよくはわからないが、それ以上聞いても嫌がらせのクレームと取られても嫌なので、その場はそれで終わりにした。

ところが、新しい柱が建ちだしたところ30cmも離れていないことが判明した。
あわてて隣家に「民法234条で規定されているとおり50cmは離すようご検討願えないでしょうか」と話に行った。
「息子が留守で私にはわからない」と言うので、インターネットで収集した民法234条(隣地境界線から外壁まで50cm離す)の条文と、不公平になるといけないので民法236条(例外規定)や建築基準法65条(外壁を隣接境界線まで接することの出来る条件)を渡し、「遅くてもかまいませんのでご連絡いただけますか」と伝えた。
しかし、連絡をいただけないので電話をしたところ、どうも気に障っているようで会話が成立しない。
「区役所と相談している」というので、「結論が出ましたらお教え願いますか」と言い電話を切った。
まったく近所付き合いは難しい。

数日後、大工さんから直接電話をいただき、「隣地境界線から50cm離させていただきます、それでよろしいでしょうか」と連絡を受けた。
正直驚いた、こちらの言い分が100%通るとも、通すつもりもなかったからだ。
「当方としては外壁を隣地境界線から50cm離していただけるのなら言うことはありません。仕事も随分と進んでいるのに邪魔をするような形になって申し訳ありませんね」と言って話を終えた。

近隣のトラブルは話し合いで決着するのが原則だと思うのだが、電話をいただいたとき話し合いに応じるつもりがないような話し方をされていたので、引っ込みがつかなくなったのではないのだろうか。
当方の言い分が100%通ったとしても、後味の悪い体験であった。

講談社 講談社学術文庫『からだの知恵 この不思議なはたらき』W・B・キャノン 著 舘鄰・舘澄江 を読む

本著は1981年に発刊された。

身体の中でおこる数々の仕組みを解説したものであるが、原著のせいか翻訳のせいかどうもよくわかりにくい本であった。
本文で354ページの本であったが、そのボリューム以上に読むのに手間取った。
一気に読むのではなく通勤中や休み時間に少しずつ読むのであるが、どういうわけか頭に残らないのである。
表現がくどいと言うか、文章が日本語化しきれていないような気がする。

内容が良いものだけに残念であった。
(B-)

2009/04/24

朝日新聞出版 『アサヒカメラ5月号』を読む

少しでも写真が上達できるようにと『アサヒカメラ』を購読している。

“総合写真誌”である『アサヒカメラ』を読んでいると、写真家の撮ったグラビアより新製品のカメラを紹介しているページを見ていることが圧倒的に多い自分に気がつく。
写真が好きと言っても、プリントされた写真を見るのが好きなのか、いいプリントを作りたいのか、新しい機材を知りたいのか、ビンテージカメラを見たいのか、と分かれてしまうところが“写真総合誌”の弱点でもあろうかと思う。

もっと写真の分野を細分化してしまったらどうなのであろう。
何でもかんでも詰め込んでしまうから、いきおいどの分野もそれなりになってしまっているのではないか。
数ヶ月前に惜しまれながら廃刊(休刊)した『写真工業』という雑誌はカメラそのものに重点を置く雑誌であり、興味深かった。
『写真工業』の行き詰まりはそれを許さないと言うことなのであろうか。

カメラのメカニズムを徹底的に解説する雑誌、写真の撮り方を中心にすえる雑誌、古今の名作と呼ばれる写真を紹介していく雑誌に分野を分けたらどうなのであろうか。
写真雑誌は数あれど、雑誌名こそ変わるものの中身といったら大同小異ではないだろうか。

カメラのデジタル化が急速に進み、写真の撮り方が大きく変わっていく今、雑誌の変革を望むものである。
(B)

2009/04/19

JTBパブリッシング キャンブックス『キハ47物語 ローカル線の主役一般形キハの歩み』石井幸孝 著 を読む

本著は2009年に出版された。

鉄道省~国鉄~JRで使用されていた気動車を解説したものである。
すでに出版されている『キハ58物語』『キハ82物語』『DD51物語』の姉妹編である。

いわゆる「鉄」向けの書籍であり、一般的な書評は難しい。

「鉄」としてみれば、国鉄の「分割・民営」化の騒ぎで関心度が大きく失われたので、国鉄末期以降の気動車の情報にこんなに疎くなっているのかと改めて思い知らされた。
あの騒ぎは労働争議としては国が関与して不当労働行為を行ったものとして未だに裁判闘争が続いているが、鉄道ファンを大きく減らしたものでもあるといえると思っている。

JR各社も発足して22年を超えた。
就職先人気調査で上位に上がる各社であるが、国鉄の負債を背負っていることは忘れてはならない。
また、国民も今のJRの“輝かしい姿”の陰で、多くの負債を背負わされていることを良く知る必要がある。

未だにいろいろと考えながら読むジャンルになってしまった「鉄」の本である。
(B)

2009/04/15

渕野辺まで整形外科に行き、八王子でうどんを食す

淵野辺にある「16号整形外科」まで枕を持って受診しに行った。
肩と頸のこりと腰痛がひどくなっているので、わらをもつかむ気持ちである。
ここでは「整形外科枕」という枕を活用して治すのだという。
マスコミにもしょっちゅう出ているので、ご存知の方もいると思う。

「整形外科枕」を作るための計測だけでなく、整形外科の受診もお願いした。
「変形性頸椎症」の可能性があると以前に言われていたからである。
ついでに腰もお願いした。
レントゲン写真を何枚も撮りその写真を元に診察を受けると、腰は幸い何の異常もないが、頸椎に関しては第5,6,7頸椎の間隔が狭く、頸椎のカーブもうまく取れていない変形性頸椎症だと断定されてしまった。
治す方法はないのだという。
ますます「整形外科枕」に期待をかけるしかない。
「整形外科枕」は計測も含めて自由診療のため、決して安くない価格であったが、これで痛みが取れれば幸いである。
今までは“低反発ウレタン”の枕とマットレスを使っていたのだが、逆に良くないとの事。
なかなか難しい。
マットレスはともかく、枕は有名なメーカー製のものだっただけに無念さは大きい。

受診後、八王子に出たがちょうど昼になったので「ふたばや」にうどんを食べに出かけた。
知る人ぞ知る店であり、今日も満員であった。
「2玉にてんぷら、熱いヤツで」と注文して550円。
比較的安いが、味は、特にうどんののどごしは絶品である。
八王子になかなか行く機会がないのと、駅からちょっと離れているのが難点である。

ついでに駅の高尾方にあるたい焼き屋によってお土産にしようと思ったのだが、跨線橋工事の架け替えに支障したのかなくなっていた、残念である。
ああいう店も“地域遺産”である、大切にして欲しいと思う。

その後、グーグルのストリートビューで確認したら店の位置を間違えていた。
ああ、情けない。

2009/04/11

中央公論社 中公文庫『法歯学の出番です 事件捜査の最前線』鈴木和男 著 を読む

本著は1979年に日本書籍より『歯は語りかける-法歯学の犯罪捜査』として刊行されたものを、1986年に改題して文庫本として刊行したものである。
よって、“最前線”となっているが30年も前の著作であるから、内容は古いといわざるを得ない。

本著には「日航ジャンボ機の御巣鷹の尾根への墜落事故」も出ているので、時の流れの早さを感じる。
現在はDNA鑑定技術が進んでいるため、法歯学の重要性は相対的に落ちてきたのではないかと思うが、それでも捨て去ることの出来る分野ではないのであろう。
本来医学は生きている人間を相手にする学問であるが、その一分野として死者を扱う分野があるというのは皮肉なことである。
出来ればお世話になることがなく済ませたいものである。
(B)

病院で眼を検査し、コニカミノルタプラザを訪れる

人間ドックが終わったので、昔人間ドックで「年に1回は網膜を検査するように」言われていたので新宿の病院に眼の検査をしに行った。
結果は網膜周辺の変性は進んでおらず、「今後の検査は必要ないだろう」とのことだった。

ちょうど昼になったので、駅ビルで日替わりランチを食べることにした。
サラダバーとドリンクバーはお代わりし放題だが、1,000円は少々高すぎないだろうか。
そして肝心の味だが、正直がっかりした。
人間ドックで出された「食事券」を使ったのだが、あんな食事に払うのなら人間ドック代を下げるべきである。

さて、コニカミノルタプラザに立ち寄ることにした。


コニカミノルタプラザ

〔ギャラリーA〕
石川卓 Ishikawa Taku [Animal Portraits 2009]
動物たちの肖像写真なのだそうだ。
一つ、一種の動物を追っているわけではないため、一枚一枚がその動物を写しきっているかになるのであるが、それはなかなか難しいのであろうと思う。
意気込みを感じないこともないが、結果としてみると「これは」というものが残念ながら見当たらない写真に終わってしまっている。
(B-)

〔ギャラリーB〕
加藤嘉六写真展 [-東京の里山- 玉川上水]
この写真展は大きく分けて二つに分かれる、玉川上水そのものと流域の暮らしである。
前者は東京にもこんな光景があったのかと驚かされる写真が多く見られた。
しかし後者は散漫であり、とってつけたような感が否めない、残念である。
前半のような写真をもっと撮りためた写真展にすればもっと良くなったのではないだろうか。
(B)

〔ギャラリーC〕
小倉隆人写真展 [東京湾 奥]
ここ十数年の東京湾の移り変わりをモノクロームで撮った写真展である。
“移り変わり”と書いたが、それを別に年代順に並べるわけでもなく、この十数年の東京湾の姿の報告ということであろう。
東京湾の奥、特に千葉県側はコンビナートと化し立ち入りの出来ない場所も多いため、その姿を撮れなかった所も多かったのではないだろうか。
昔、「三番瀬」を撮っていたこともあったが、同じ東京湾を撮ってもこう違うものになるのか、と感じる。
東京湾への“想い”の違いがちょっとした不満を生むのかもしれない。
でも、悪くはない写真展である。
(A-)

2009/04/09

光文社 光文社新書『下流社会 新たな階層集団の出現』三浦展 著 を読む

本著は2005年に刊行された。

「上流社会」「中流社会」という言葉はよく聞くが、「下流社会」という言葉はあまり聴きなれない言葉だ。
小泉内閣以降の格差社会の拡大は新たに「下流社会」を作り出した、というよりも「中流社会」を極少数の「上流社会」と「下流社会」の2極化をまねいた。
生活保護か生活保護ぎりぎりの収入で生活をやりくりする「下流社会」に住む人たち、それは今後「自公政権」やそれに代わる勢力が格差社会の是正を行わない限り日本国民の9割以上が属することになるであろう。
そして、一度「下流社会」に落ち込むとその子どもたちが「上流社会」に行くことはきわめて難しい、“格差の固定化”が進む。
“55年体制”は保守対“革新”の勢力が均衡していたため一定の社会的保証も得られたし、「一億中流化」によって“皆がそれなりに生活が向上”したが、“55年体制の崩壊”は「下流社会」=貧困層の拡大・固定化を促進した。

今年の秋までには行われる総選挙の結果によっては政権政党が代わることもあろう。
しかし「自公」も「民主」も基本的な政策は五十歩百歩であり、根本的な格差社会の是正は期待できないであろう。

今の日本人は“飼いならされている”のだろうか。
安保闘争のあのエネルギーはどこにいったのであろうか。

2009/04/06

講談社 講談社現代新書『はじめての一眼レフ』大西みつぐ 著 を読む

本著は1997年に刊行された。

最近はカメラも銀塩からほとんどがデジタルに移行してしまっているため、たった12年前の本の内容が陳腐化してしまった。
もちろん、撮影に関する部分はないように問題はないのであるが。

デジタルカメラも200~300万画素程度から、今や2,000万画素を超える一眼レフが何とかではあってもアマチュアフォトグラファーの手に入るのである。
これが5年もすれば4,000万画素を超えるのではないであろうか。

こうした技術進歩が早く、それによって陳腐化してしまう著作はもったいないと思う。

(B)

2009/04/01

講談社 講談社現代新書『検査値で読む人体』高見茂人 著 を読む

本著は1991年に書き下ろされた。

“成分献血マニア”であるため、血液の諸データを毎月にようにもらう。
検査値は「標準値」に入っているが、中には上限ギリギリだったり、加減ギリギリだったりしている。
大体のことは日本赤十字からのお知らせはがきに書いてあるのでわかった気になっているが、改めて本書で読み直してみようと思ったしだいである。

本書はよっぽど知的要求がないと飽きてしまうかもしれない。
あまりにも専門的な略語がこれでもかこれでもかと並ぶだけであるからだ。
なぜそのように数値が変化するのか、もっとわかりやすく解説しても良かったのではないかと思う。

(B)