sat's blog

2011/01/28

芳文社 Hobunsha Comics 『特攻の島 2』佐藤秀峰 著 を読む

本著は「週刊漫画TIMS」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。

この作品は第二次世界大戦末期の回天開発、特攻の事実を下敷きに物語を構成している。
題材が題材であるだけに作品は重く暗い。
極限の状態に置かれた人間の生き様を描くのが作家の目的だったのだろう。
その目的は成功していると思うが、限られた中でこの先この作品がどのような展開を見せるのだろうか。

この作家は書籍というメディアに絶望を感じているようだ。
しかし、書籍というメディアで作品を読みたいと思う読者もまだまだ多数いる。
この作品がこの作家の書籍での最後の作品にならないことを祈るのみである。
(A+)

小学館 BIG COMICS BC3638 『ダブル・フェイス 23』細野不二彦 著 を読む

本著は2010年に「ビッグコミック」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。

物語が大きく、急速に展開している。
いくつかの謎が解き明かされ、さらに新たなピースが現れることによってパズルが完成に向かって行っているようだ。
この物語がどのような形で終わるのか、目を離す事ができなくなった。

一話完結で進んでいった序盤が、終盤になると大きな流れになって濁流のようだ。
少しばかり違和感を感じざるを得ないが、大いに楽しむことになった作品である。
(A)

2011/01/23

講談社 モーニングKC1320 『天才柳沢教授の生活 30』山下和美 著 を読む

本著は2010年に「モーニング」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。

この作家は人間描写が素晴らしい、その才能に嫉妬をしてしまう。
登場人物に対しては常に愛情を持って描いている、それがいい。
俺はこの巻の第212話が特に好きだ。
好き嫌いで作品を論評するのはいかがかと思うが、こんな夫婦関係を作りたいものだと切に思う。
(A+)

2011/01/20

新宿Nikon Salonを訪れる

新宿ニコンサロンを訪れた。


■新宿ニコンサロン
〔新宿ニコンサロン〕
藤田修平写真展「路上の跡形」

この作家は犬や猫を撮りながら、実際には台湾を撮っているのかなと思っていたのだが、台湾の姿はなかなか俺の眼に浮かんではこなかった。かと言って犬や猫が秀でているわけではない。あえてきつい言葉を出すが退屈な写真展であった。
(C)

〔ニコンサロンbis新宿〕
木畑通晃写真展「京の夏 -祇園囃子の季節 1979~2005-」

この作家の作品は26年もの永い期間を撮りためた作品だけあって、内容も豊富で非常に濃い。また、撮り方、見せ方が上手い。この作家の作品は観るものを飽きさせない。
プリントもいい、モノクロームはこうでなければいけない。
(A)

2011/01/08

山廃仕立『でんしゅ』を呑む

山廃仕立『でんしゅ』を呑んだ。
旨い酒を呑めるということはとても幸せである。
至福の時間をありがとう、と言いたい。

2011/01/06

講談社 ヤンマガKC1980 『頭文字D 42』しげの秀一 著 を読む

本著は2010年から2011年にかけて「ヤングマガジン」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。

最近はこの作品に飽きがきている。
理由は単純、物語がワンパターンでつまらないからだ。
だらだらと続けず、いい加減この辺で作品を終息すべきだと思うのだが。
(B-)

2011/01/01

映画『TRON LEGACY』 を観る

この作品は1982年の『TRON』の続編と言っていいようだ。
当時はCG技術が未発達だったのでCG風アニメーションだったが、その出来栄えに驚いたものだった。
28年が経ち、CG技術がごく普通の映像効果として使用されている現在、その技術のみでは観客を納得させることはできないだろう。
前作を観ていればこの作品とのつながりもわかるだろうが、大半の観客にとっては始めてみる映画だろう。
数年で次回作が出てくるのなら観客もついていけるが、28年ではつらいのだ。
(B-)

映画『SPACE BATTLESHIP ヤマト』 を観る

この作品は当初は観に行くつもりはなかったのだが、どうしようもない正月番組を見るよりはましだと思い映画館に足を運んだ。
テレビジョンのアニメーション『宇宙戦艦ヤマト』は1974年に作られたから、36年ぶりの実写映画化となる。
本放送ではそれほど人気が出なかったが、再放送で人気が出、「もういいかげんにしろよ」と言いたくなるくらいアニメーション映画化された。
再映画化が進むたびに内容は悪化していった様に感じている。
テレビジョン放送時では地球を救うためイスカンダルにコスモクリーナーを受け取りに出かけるだけだったのが、絶対悪の象徴であったガミラスのデスラー総統と友好的になったり、特攻を仕掛けることまでやった。
今回の実写映画化で一番危惧したのはそこのところであった。
危惧は的中した。
敵ではあってもガミラス本星への攻撃、そして最後は特攻である。
36年の歳月はこうしたシナリオが製作スタッフから自然に出てくるような時代を反映しているのだろうか。
SFとはいえ、軍隊の映画であり、戦争なのである。
日本国憲法第9条を持つ国で作る映画としていかがなものだろうか。
フィクションだから、映画だから、迫力を出すためだから、そう言って許されるものなのだろうか。
製作者はそこまで充分に考えてプロットを作って欲しかったと思う。
(B-)