sat's blog

2009/09/30

小学館 BIG COMICS BC2625『ダブル・フェイス 19』細野不二彦 著 を読む

本著は2009年に刊行された。

この作品は当初、一話読み切りで連載されていたものだが、最近では連続した物語となってきている。
物語はより深くなってきているので、より面白くなってきているのだが、終焉が近いような気もして少しさみしくなる。
この先どう進んでいくのか、楽しみでもある。
(A)

2009/09/29

講談社 モーニングKC1831『不思議な少年 8』山下和美 著 を読む

本著は2009年に刊行された。

先の記事でも書いたことだが、山下和美氏は人間観察が素晴らしい。
この作品では、“不思議な少年”が人間社会の不思議を次々と体験していく。

不死で、あらゆる時代に歳をとらずに出没する“不思議な少年”と言う発想は、故手塚治虫氏の傑作『火の鳥』を連想させる。

この発想を可能にした山下和美氏の能力がうらやましくなる。
(A+)

講談社 モーニングKC1312『天才柳沢教授の生活 28』山下和美 著 を読む

本著は2009年に刊行された。

作者である山下和美氏はどのようなきっかけで男性週刊誌に連載をしているんだろう、とよく思う。
しかも、異質ではないのである。
いや、男性作家よりも深く人間観察をしている、すごい作家なのである。

超真面目人間、天才柳沢教授がコミカルに、またたいそう人間性あふれて描けるということは素晴らしい。

次のページではどんなエピソードが繰り広げられるのか、わくわくして読んでしまうのだ。
(A)

2009/09/26

竹書房 BAMBOO COMICS『燃えよペン』島本和彦 著 を読む

本著は1991年に刊行された。

内輪ネタ的ギャグマンガである。
近作『アオイホノオ』が青春漫画的色彩を強めているのに対してギャグの要素がきわめて多い。
でも、嫌いじゃないんだな。

『吼えよペン』も近々入手したいと思っているので、読み比べが楽しみである。
(A)

徳間書店 SC SPECIAL SCS-3『覆面ボクサー』島本和彦 著 を読む

本著は1989年に刊行された。

すばらしい、20年も前である。
島本和彦氏の基本スタンスはこのころから変わって(進歩して)いないのだ。
基本熱血的ギャグマンガ、バカバカしいけど嫌いではないのだ。
近作『アオイホノオ』が火をつけてしまった島本和彦氏作品の収集は進んでいくんであろう。
期待しよう。
(B+)

2009/09/14

徳間書店 リュウコミックス スペシャル『とりから往復書簡』とり・みき 唐沢なをき 著 を読む

本著は2009年に単行本と発刊された。

前にもたぶん書いたと思うが、私は唐沢なをき氏のファンである。
そして、とり・みき氏の大ファンである。
どちらかと言えばマイナーな(よりマイナーと言えばとり・みき氏であるが)作家の大ファンなのである。
その二人が合作(?)となれば買わない訳には、読まない訳にはいかない。

マイナーな作家二人がこのような合作をするとなれば、おのずと自己中心ネタになるのはやむを得ない。
それが面白いかどうかが大切なのである。
もちろん、シリアスな作品も読んでみたい。
とり・みき氏の『石神伝説』はどこかで再連載できないものだろうか、切に願いたい。

さて、この『とりから往復書簡』は続刊の予定があるという。
大作家(この二人もそうであろうが)ばかりでは面白くない。
商売にならないが面白い作家も活躍することによって、マンガは発展していくのだと思う。
そういう意味でも頑張ってほしいものだ。
(A)

新潮社 BUNCH COMICS 『コンシュルジュ 17』いしぜきひでゆき 原作 藤栄道彦 漫画 を読む

本著は2009年に「週刊コミックバンチ」に連載されていたものを2009年に単行本として発刊したものである。

この作品は前にも触れたように大好きな作品のひとつである。
しかし、この巻はひとつ読んでいて乗り切れないものがある。
一つ一つの作品は一定水準をいっているのだろうが、これはという核になる作品がないのである。
毎週の連載ではなく隔週に近い連載だからといって、高水準を維持するのは無理だろう。
また、単行本になるのを見越して作品の水準を上下させることはおかしいとは思う。
しかし、単行本となってみると、その中での作品の水準の上下も必要なのではないかと思ってしまう。
この作品のように基本的に一話完結では難しいとは思うのだが、だらだらと同じ水準の作品を見せられるのはある意味辛いものがある。
(A-)

2009/09/02

岩波書店 岩波現代文庫 学術61『宇宙を顕微鏡で見る』佐藤文隆 著 を読む

本著は1989年、1981年に刊行された単行本を文庫として再刊行したものである。

宇宙論については様々な本を読んできた。
いや、正確に言えば、宇宙論の周辺の本を読んできたのである。
本著も宇宙論そのものではなく、宇宙論の周辺を解説しているものにすぎない。
そこに“不満”がある。

宇宙論についてしっかりと学ぶには少なくとも大学の教養学部以上を対象にした書籍を読む必要がある。
それを読まずして、文句を言うのは筋違いといえば筋違いだ。

本著は書きおろしではない。
新聞などでの連載が元である、ということは数式が一つも出てないことからもわかる、“一般読者”向けの本なのである。

要求するものとこの書籍の性格が違うのは著者の責任ではない、読者の責任である。

先々月に買った大学学部向けの教科書をやはり読まなければならないのだろう。
それを理解させてくれただけでも読んだ甲斐はあるというものか。
(A)

小学館 SUNDAY GX COMICS GX182『アスカ@未来系 1.0』島本和彦 著 を読む

本著は2009年に単行本としてまとめられて発刊された。

やはりやってしまった、次の日にである、もう島本和彦氏の作品を手にしているのである。
困ったことである。

しかも、この作品はSFではないか、いちおうギャグも含んでいるが。
島本和彦氏という作家を少し甘く見ていたのかもしれない。

ということは、他の作品を手にするのも時間の問題であるということなのだろうか。
やれやれなのである。
(A)

2009/09/01

講談社 モーニングKC1798『ジパング 41』かわぐちかいじ 著 を読む

本著は2009年に雑誌に連載され、2009年に単行本として発行されたものである。

実はこの作品、少し前に読んでいたのであるが、ブログに書くのを忘れていたのだ。
だから、順序が少し変わってしまっている、お詫びする。

この作品も41巻となり、終盤といってもいいだろう。
しかし、この作者も終盤でのどんでん返しをする力量のある作家であるから、“安心”はできない。

まぁ、安心して読んでいるよりも、裏切られるほうが面白い。
気持ちの良い裏切りを期待していきたいと思う。
(A)

マガジンハウスムック Casa BRUTUS 特別編集『浦沢直樹読本』を読む

本著は2009年に発行された。

今をときめく、浦沢直樹氏をまるまる特集したムックである。
もちろん、映画『20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗』の公開に合わせた、タイアップ企画であると言える。
であるから、初期の浦沢作品にはほとんどといっていいほど触れられていない。
とくに他の問題もあって触れにくいのかもしれないが、『マスター・キートン』はまったくと言っていいほど触れられていないのは実に不満である。

しかし、浦沢直樹氏に興味を持つ読者は買うべきムックであろう。
(A)

『20世紀少年 -最終章- ぼくらの旗』を観る

この作品の原作は、浦沢直樹氏の長編マンガである。

浦沢直樹氏の作品は縦横に伏線を張り巡らし、時には張りっぱなしにしながらも、読者を引きつけていく。
また、大体が20冊を超える大長編であり登場人物も多いため、映画化するのは無理だと思っていた。
この作品が3部作の、日本では例外的な作り方をした映画作品となったとしても、ずいぶんとはっしょったものになってしまったことは否めない。

第1部ではあくまでも原作に忠実に、第2部ではやや離れて、そしてこの第3部では別のストーリーとして進行していく。
映画の制約からこれはやむを得ないのだろう。

原作のエピソード一つ一つが重い意味を持っているからこそ、中途半端にカットすると作品が必要以上に貧弱になってしまう。
だから、だから、しかしもったいないなぁ、これがこの作品を観終わった結論なのである。
(A-)

小学館 YOUNG SUNDAY COMICS『アオイホノオ 2』島本和彦 著 を読む

本書は2008年に雑誌に連載され、2009年に単行本として発行された。

結局早々に買い出してしまった、困ったことである、悪い癖なのだ。
でも、まあ、作品が面白いので良しとしておこう。
(A)

小学館 YOUNG SUNDAY COMICS『アオイホノオ 1』島本和彦 著 を読む

本書は2007年に雑誌に連載され、2008年に単行本として発行された。

本書は弟が間違えて同じ本を2冊買ってしまったため、読むことになったという、ちょっとおかしな経緯で読むことになった作品である。
作家、島本和彦氏には興味は昔からあったのだけど、今まで何とか買わずに来ていたのである。

この作品は「フィクションである」と断っているが、現実のマンガ界をかなり書き込んでいると思う。
一種の自叙伝的作品とでも言っていいだろう。

社会に羽ばたく前の、無限の可能性を信じながらもがき苦しむ姿を、“ギャグ”として表現する手法はこの作家の特徴でもある。

やれやれ、また一人の作家の作品を集めることになりそうである。
(A)

『ギャグで駆け抜けた72年 赤塚不二夫展』を観る

『ギャグで駆け抜けた72年 赤塚不二夫展』を観に行った。

赤塚不二夫氏は『おそ松くん』以来のファンで、かなり読んでいると思っていたのだが、ずいぶんと読み落としがあるのに驚いた。
『おそ松くん』→『もーれつア太郎』→『天才バカボン』→『レッツラ・ゴン』というのが私の赤塚不二夫氏の作品の流れだと思うのだが、実際には『もーれつア太郎』と『天才バカボン』の発表順が逆になっている。
これは作品の最終的な熟成度・達成度の順にならべたものであるとも言える。

『もーれつア太郎』と『天才バカボン』を逆に並べたのは、『天才バカボン』は前期と後期では全然違う作品といえるほど違うのだ。
後期、いや末期の天才バカボンの実験性には驚くべきものがある。

これが次の『レッツラ・ゴン』では行きつくところまでいきつくのだ。
『レッツラ・ゴン』は『天才バカボン』ではかろうじて付いて来ていた読者が付いていけず、商品としては失敗だったのかもしれないが、付いていけたものとして赤塚不二夫氏の作品の最高到達点だったと思う。

ギャグマンガ作家は多いけど、赤塚不二夫氏は未だ孤高のギャグマンガ作家なのだ。
(A+)