sat's blog

2010/11/30

小学館 BIG COMICS BC3487 『鉄腕バーディEVOLUTION 6』ゆうきまさみ 著 を読む

本著は2010年に「週刊ビッグコミックスピリッツ」で連載された作品を2010年に単行本として発刊したものである。

この作品の今後のことをこの作家は「あと5,6巻で終わらせたい」と発言したようだが、物語は終結へ向かうのではなく、また新しい謎が出てきた。
とても「あと5,6巻で」終わるとは思えない。
作家が登場人物を制御できなくなるのはよくあることである、この作品もそうなっているのではないか。
一読者からすればもう少し登場人物たちが大暴れし、作家が頭を抱える事態を願っているのだが。
(A)

2010/11/25

コニカミノルタプラザを訪れる

コニカミノルタプラザを訪れた。

コニカミノルタプラザ

〔ギャラリーA〕
FOTO PREMIO 村山謙二「国境の街」

昨今の情勢のため、ついつい「国境」という言葉には緊張感があるものだと思い込んでしまう。
時には政治的に、時には自然に沿って引かれた国境の両側には人々が暮らしているのだ。
この作家は中国の国境地帯を撮ることによって、その人々の普通の生活を描き出した。
(B+)

〔ギャラリーB〕
FOTO PREMIO 古谷紀子「ハバナ・スターズ」

行ったから撮ってきたのか、撮りたいために行ったのか、たぶん後者であろうが短時間で撮ったであろう“異国"の写真である。
街を歩き回り、気になった一瞬一瞬を撮り集めてきたのであろうが、写しこまれたものは残念ながらそれほど深くない。
作者が想いこがれていたハバナの街はこの程度のものだったのだとしたら残念だ。
(B-)

〔ギャラリーC〕
森住卓写真展「山の民の祈り パキスタン・カシミール地震被災地に生きる」

この作家の行動力と作品にはブレを感じるところがない。
強い作品が並ぶ、どの1枚を観ても冗長さは感じられない。
この作家は常に弱者の側から撮っている、これが作品にブレを起こさない原因であろう。
この作家は数多く平和を願う作品を発表している、ヒビの努力が人に感動を与える作品に見事に昇華している。
(A+)

2010/11/24

講談社 講談社漫画文庫 ほ2-3 『ブルーホール』星野之宣 著 を読む

本著は1991年から1992年にかけて「ミスターマガジン」で連載された作品を1992,3年に単行本として発刊し、1996年と2002年に文庫本化したものである。

SFとしては王道たるタイムトラベルものである。過去と時を結ぶトンネルという発想は「タイムトンネル」を始めいくつかの作品で使われている。ならば作品の良否はその発想を土台として展開するストーリーの良否ということになる。

ならばこの作品はどうであろうか。
恐竜とその絶滅、学者の争いと軍、政治家と役者は揃っている。
最後はかなり焦った感があるがテンポはいいし、役者がうまく動いている。
続編の『ブルー・ワールド』を読みたくなったのは言うまでもない。
(A)

2010/11/23

日本リアリズム写真集団第17回松戸支部写真展「海月」を観る

日本リアリズム写真集団第17回松戸支部写真展「海月」を観に行った。(A)

「秋深し・本土寺」亀雪子
この作家にとっては通いなれた場所なのであろう、風景の切り撮り方が上手い。
5枚目の遠景となった人物をもっと丁寧に撮って欲しかったと思う。

「里山で遊ぶ」遠藤利夫
この作家の大人目線が残念であった。
子供目線で撮ればもっと子どもたちの生き生きとした表情が引き出せたと思う。

「笹川の神楽(千葉県東庄町笹川・諏訪大神)」大川淑子
細かいところに気になるところがあるが、かなり撮り貯めてきたのではないだろうか。
切り撮り方は上手い、だが同じようなカットばかりになってしまったのは残念である。

「ひと休み」伊藤百合
5枚組みの作品であるが、階段で寝転ぶ男性の1枚で充分である。
夜のコーヒー缶はちょっとこじつけすぎではないだろうか。

「やさしいものたち」神山直子
獣の尻尾に優しさを感じるこの作家の視点が微笑ましい。

「写し絵」榎浩子
2L版のスナップ写真を25枚。
1枚1枚にはドキッとするようなものは見当たらないのだが、まとめて観ると作家の姿が出てくるように思える。
不思議な作品である。

「“愁花~二節~"」菊地美奈
逆転の発想である。
花の写真は綺麗な花を綺麗に撮るもの、それを壊してくれた。
なかなか面白い発想をする作家である、こういった発想は好きだ。

「“愁跡”」菊地美奈
“愁花~二節~"では冴えを見せてくれた作家だが、この作品では迷いが出たのだろうか。
よくよく見ればわかるのだが、“愁”が直感できない写真は残念ながら弱い。
もっとモチーフを大切にすべきだと思う。

「アンコール遺跡、寸描」小山貴和夫
この作品には解説文があり、この作家の思いはここにあるととってしまう。
たしかに作品はタイトルどおりのものになっているのだが、解説文が作者の気持ちであるのであれば残念ながらそれはほとんど撮れていない。
わざわざ解説文を書くのではなく、作品にそれを語らせるべきである。

「鯨のまち(房総和田漁港)」當摩勇雄
面白そうな題材であるのだが、作家が一歩踏み込んでいない。
そのため同じようなカットばかりになってしまい、作品が単調になってしまった。
たぶん、1回の撮影なのであろう。
1回のチャンスを活かすのはプロフェッショナルでも難しいだろう。

「夜行」ロスラー・ディエク
なかなか強い作品である。
夜のスナップショットという難しい光線の中でしっかりと人物を撮っている、上手い。
こういうモノクローム作品にはなかなか出会えなくなってきた、幸せである。

「清流と里人のハーモニー」中山味佐
7枚組みの作品であるが、3枚程度に絞り込んだほうが作品として完成度が上がったのではないかと思う。
出したい写真があっても出すことによって冗長になるのでは出さないほうが良いと思う。

「銚子初秋」吉田成助
典型的な“銚子”の写真であり、そこで止まってしまったのは残念である。
プリントも他の作品もそうだが、硬すぎるのが気になるところ。

「浦安-漁村時代の記録(1959年4月)」保坂茂夫
約50年前の作品であり、申し分ない作品である。
半世紀という時の流れは「写真は記録の芸術である」という言葉を思い出させる。

「初めての稲刈り」西垣享子
4枚組みであるが、全てが同じような距離感で残念である。
最後の1枚に写った人物の表情が良い、この1枚、単写真で充分である。

「穏やかな時間」湯浅きいち
現在の日本が切り捨てようとしている田舎の風景なのだろうか。
なくしたくない風景である。

「分断される街-外環千葉区間」松林久雄
開発現場の作品は数多く発表されているので、ついつい比較してしまう。
絵的にダイナミックなものがやはり強く、この作家は苦労しただろうが残念ながら弱い。
もっと強い絵を求めるのか、アプローチを変える必要があるだろう。

「“無限大”“青春”“宝”」中村孝子
作者の子どもだろうか、孫であろうか。
自分の一番大切なものを撮るのに邪念は入らない。
観ていても気持ちよい記録である。

統一テーマ「上野動物園」から「ブリッジ」べネック・リチャード
上野動物園というテーマからあえて構造物に目を向け、わざとブラして撮る。
確信犯だが上手い。

2010/11/22

講談社 モーニング KC1955 『BILLY BAT 5』浦沢直樹 著 ストーリー共同制作 長崎尚志 を読む

本著は2010年に「モーニング」で連載された作品を2010年に単行本として発刊したものである。

この作品はまだ序章であるらしい。
様々な時代の様々な事件を蝙蝠がつないでいく。
この巻はケネディの暗殺に至る道を描いている。
この作家は大きな風呂敷を拡げに広げ、どう収拾を付けていくのかはらはらさせられてきたが、この作品は過去の作品にも増して大きな風呂敷を広げようとしている。
それだけ期待も持つのであるが、どう収拾を付けていくのだろう。
力量のある作家にベテラン編集者がタッグを組んでいる、たぶん大丈夫なのだろう。
心配ではあるが、この作家の最高傑作にもなるのかもしれない。
しっかり付き合っていこうと思う。
(A)

2010/11/21

コニカミノルタを訪れる

コニカミノルタプラザ

〔ギャラリーA〕
日本写真会第31回同人・同友展

この写真展は“形"“色”の綺麗な者が選別の基準のようだ。人物はほとんどない、あっても形だけである。非常に残念である。
(B-)

〔ギャラリーB〕
山野義昭写真展「まつりきぶん」

どこが“まつりきぶん”なのかわからないが、人間を撮ろうとするする姿勢に共感を覚える。ただ、もっと丁寧に撮って欲しかったなという気持ちにもなる。
(B)

〔ギャラリーC〕
島内治彦写真展「お城が見える風景 ~姫路城~」

この作品の姫路城は刺身のツマである。上手い刺身には気の利いたツマがあると味を極めたてる。この写真展の刺身は決して鮮度がよいとはいえないのだが、たった一点上手い刺身があったので良しとしておこう。ただ、ツマがよかったかどうかは定かではないのであるが…。
(B+)

2010/11/18

GEORGES DUBCEUF BEAUJOLAIS VILLAGES NOUVEAU を呑む

GEORGES DUBCEUF BEAUJOLAIS VILLAGES NOUVEAU を呑んだ。
そう、ボジョレー・ヌーボである。
決してありがたがってはいけない、新酒だ、勢いで楽しめばいいのだ。
うん、美味しいと言っておこうか。
(A)

2010/11/12

小学館 SHONEN SUNDAY COMICS SPECIAL SSCS-2578 『アオイホノオ .5』島本和彦 著 を読む

本著は2010年に「ゲッサン」で連載された作品を2010年に単行本として発刊したものである。

ほぼ同じ年代の作家が学生時代を描くこの作品にはどうしても引き込まれていく。
俺自身、この時代に何をやっていたんだろうか、と考えてしまう。
この作家の作品で「ホノオモユル」を名乗る主人公は過去にもあったが、別物と言っていいだろう。
この作家には珍しい「青春もの」である。
(A)

2010/11/09

『Asahi 世界ビール紀行 ~ドイツ メルツェンタイプ~』を呑む

『Asahi 世界ビール紀行 ~ドイツ メルツェンタイプ~』を呑んだ。Asahi が作るとドイツビールもこうなっちゃう、かな。追加購入はしないだろう。
(B)

『源水仕込 超辛純米酒 谷川岳』を呑む

『源水仕込 超辛純米酒 谷川岳』を呑んだ。
『水芭蕉 特本活性にごり生酒』を作った酒蔵の酒だから期待をしたのだが、結果は残念なものであった。
(C)

2010/11/08

『水芭蕉 特本活性にごり生酒』を呑む

『水芭蕉 特本活性にごり生酒』を呑んだ。
にごり酒、というかドブロクには興味があるのでつい手が伸びる。
しかも超辛というから買わない手はない。
呑口は炭酸ガスの辛さとすっきりさが心地よい。
面白い酒である。
(A)

2010/11/07

講談社 KCDX2989 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX タチコマなヒビ 1』士郎正宗 原作 櫻井圭記 プロット 山本マサユキ 著 を読む

本著は2009年から2010年に「月刊ヤングマガジン」で連載された作品を2010年に単行本として発刊したものである。

『エヴァンゲリオン』といい、最近はヒットした原作をとことん利用する風潮がひどい。
この作品もその一つだが、薀蓄好きには知識欲をかき立てて、まぁ楽しい。
まぁ、仕方がない、許すか。
(B+)

2010/11/05

講談社 KCDX2989 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX 2』士郎正宗 原作 衣谷遊 著 を読む

本著は2010年に「月刊ヤングマガジン」で連載された作品を2010年に単行本として発刊したものである。

『攻殻機動隊』と言うと、どうしても士郎正宗氏である、なぜこの作品は作家を変えたのだろうか。
士郎正宗氏の作品を知っているとどうしても比較することになり、あの圧倒的な世界観から抜け出すわけにはいかなくなる。
この作家には可哀想であるが、もともと比較は無理なのである。
士郎正宗氏の作品の画力、ストーリー、遊び心、何をとっても後発の作家に高い壁になってそびえ立つ。
士郎正宗氏が先を歩いていなかったら俺はこの作品にどのくらいの評価を付けたのであろうか。
『攻殻機動隊』という作品名に惹かれて購入したのである。
ハンディは大きいと言わざるを得ない。
(B+)