sat's blog

2011/12/28

小学館 BIG SPIRITS COMICS BC4186 『電波の城 14』細野不二彦 著 を読む

本著は2011年に「週刊ビッグコミックスピリッツ」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。


この作品、トーンはきわめて暗いのだが、重厚な作品である。
この作品にも「オウム真理教」の臭いが匂う、いろいろな作家にインスピレーションを与えずにいられないようだ。
この作家がどう処理していくか気になるところである。
(A)

小学館 BIG COMICS BC4377 『鉄腕バーディEVOLUTION 10』ゆうきまさみ 著 を読む

本著は2011年に「週刊ビッグコミックスピリッツ」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。


少し多くなったな、と思った登場人物であるが本巻で少々整理したようだ。
これは良い修正である、散漫となりつつあったストーリーがしまった。
先が見えてきたような気がするが、それはそれで仕方ないことだ。
作品の完成度を優先させるべきだろう。
(A)

2011/12/23

大日本絵画 『バサラ戦車隊』 望月三起也 著 を読む

本著は2010年から2011年に「月刊アーマーモデリング」誌に連載された作品を2011年に単行本として発刊されたものである。

この作家の作品には暴力と戦争が付きまとう。
力のある作家ゆえにその点が気がかりであり、残念なところでもある。
それを除けば、少々乱暴にストーリーを展開するところに目をつぶれば、作品としては完成度は高いだろう。
暴力と戦争という舞台に反発しつつ楽しむ俺がいる。
(A-)

2011/12/22

講談社 モーニングKC1327 『天才柳沢教授の生活 32』山下和美 著 を読む

本著は2011年に「モーニング」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。

この作家の日常の小さなエピソードを読み応えのある作品に昇華させる能力は素晴らしい。
作家という過酷な作業の連続の中で、どうやって見につけてこれたのであろうか。
これが創造力というものなのか。
こうした作業がすでに単行本で32巻にもなった、作家の苦労は並大抵のものではないだろう。
その苦労のおかげで俺たちは楽しむことができる、頑張っていただきたいと思う。
(AA)

2011/12/21

実業之日本社 マンサンコミック 『ワイルド7リターンズ』望月三起也 著 を読む

本著は描き下ろしで2011年に発刊された。

本著は映画化を記念して発刊された作品なのであろう。
このシリーズが当初連載されてから40年以上も経ったのではないだろうか、しかし、古さは少しも感じられない。
まぁ、時間の流れからすると主人公はもっと年配でもいいわけだが。
また、本作品には様々なシリーズがあり、どうつながっているのかが良くわからない。
作家はそれをこだわっていないようなのでどうでもいいとするしかないのだが、気にもなるのだ。
続編に期待する。
(A)

2011/12/20

集英社 『数奇です! 弐』山下和美 著 を読む

本著は「YOU」誌で連載されたものを2011年に単行本として刊行された。


壱巻の進みがあまりにも遅かったため、この弐巻の進行の早さには面食らった。
しかし、一般建築とはこれでも充分に遅いのだが。
作品としてはエッセイであり、コメディであり、薀蓄であるこの漫画、この作家としては異色なのであるが違和感はない。
力量のある作家の作品は安心して見ている事ができる。
(A)

秋田書店 『ブラック・ジャック創作秘話 ~手塚治虫の仕事場から~』宮崎克 原作 吉本浩二 漫画

本著は2011年に発刊された。

最近は故手塚治虫氏を振り返る作品や復刊が相次いでいる、「手塚治虫ブーム」と言ってもよいだろう。
故手塚治虫氏を語ればおのずとその周りのそうそうたる面々も語られる。
巨匠は一人輝いているだけでなく、周りに有能な才能を集める。
氏を癌で亡くしたのは非常に惜しいことであった。
氏がもう20年健在だったら今のマンガはどう変わっているか想像もできない。
(A)

2011/12/19

双葉社 『ボクの手塚治虫せんせい』古谷三敏 著 を読む

本著は「アクションZERO」誌に連載された作品に書下ろしを加え、2010年に発刊された。

この作品は文章でなく、マンガで描いた元アシスタントから見た手塚治虫像である。
手塚治に関する作品は数多く出ているが、この作品の手塚治虫像は少し違う。
やはり身近で接してきた人には違う姿が見えるのだろう。
手塚治虫を理解するには貴重な資料であると共に、師に捧げた作品なのである。
(A)

2011/12/15

新潮社 BUNCH COMICS 『最後のレストラン 1』藤栄道彦 著 を読む

本著は2011年に「月刊コミック@バンチ」誌で連載された作品を2011年に単行本として発刊したものである。

本作品の仕掛けは「過去の有名人のタイム・トリップ」である。
それを除けば『コンシェルジュ』と同様な手法である、目新しいものではなく少し残念である。
『コンシェルジュ』では原作者がアイディアを出していただろうが、本作品には原作者はいない。
アイディアがどこまで続いていくのか見守っていこうと思う。
(B+)

徳間書店 RYU COMICS 『青空にとおく酒浸り 6』安永航一郎 著 を読む

本著は2010年から2011年に「月刊COMICリュウ」に掲載された作品を2011年に単行本として刊行したものである。


本著は相変わらずの下品さ満載で絶好調である。
しかし、ひとつ気になることがある、新しいキャラクターの登場である。
新しいキャラクターの登場は作品の行き詰まりの解消策として常用される、不安である。
キャラクターをそれほど増やさず、下品パワーを満開させるべきではないのか。
今後の展開を注視する。
(A)

2011/12/14

映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』を観る

映画『RAILWAYS 愛を伝えられない大人たちへ』を観た。

前作の『RAILWAYS 49歳で電車の運転士になった男の物語』は観なかったのだが、なかなかの佳作となっている。
三浦友一氏も齢を重ねた男を演ずるのに違和感を感じさせなくなった。
特にけれんもない、「いかにも松竹映画」という感じの映画であるが、好ましい作品である。
残念なことは、三浦友一氏演じる主人公の生き様を観て己の姿に重ねてしまい、気だけは若かった自分が急に歳を取った気分になったことである。
(A)

2011/12/12

徳間文庫 あ-54-1 『失踪入門! 人生はやりなおせる!』 吾妻ひでお 著 中塚圭骸 インタビュー を読む

本著は2006年から2009年に「COMICリュウ」誌で連載され、2010年に単行本として刊行されたものを2011年に文庫として刊行された。

この作品も名著『失踪日記』の派生作品と言ってもいいだろう。
作家とインタビュアー、編集者が繰り広げる“病的な会話”を読んでいると自分も鬱ではないかと疑わしくなる。
いや、作家、インタビュアー、編集者は躁なのかもしれない。
内容はと言うとさすがに「病気」の方々の会話である、まとまっているようで訳がわからない。
読んでいて楽しかったのは事実なのだが、残ったものはないんだなぁ。
(A?)

2011/12/08

柏書房 『アホでマヌケなアメリカ白人 STUPI WHITE MEN』 マイケル・ムーア 著 松田和也 訳 を読む

本著は2001年に原著が書き下ろされ、2002年に翻訳され刊行された。

ご存知、マイケル・ムーア氏の作品である、毒が満載である。
カバーイラストや翻訳された文体に惑わされてはいけない。
この作品が言っている事はしごく全うなことだ。
この作家の主張するすべてのことに同調するわけではないけれど、アメリカ合州国にもこういった作家がいることで救われる思いだ。

『アホでマヌケな松下政経塾生』を書いてもらえないかな?
(A)

2011/12/01

映画『1911』を観る

映画『1911』を観た。
この作品を観る時はジャッキー・チェンの作品だということを忘れていたほうがいいだろう。
できれば中国史をおさらいしていった方が楽しめるだろう。
より楽しむには日本の近代史を、せめて日本国がどういった体制なのかくらいはわかる必要がある。
「民主主義体制」なんて言ったら嘲笑を浴びるだろう。
日本は長い歴史の中で革命がなかった国であり、政治体制は常に上から与えられたものでしかない。
そんな国だから石原慎太郎や橋下徹なんぞが簡単に当選してしまうのだ。
観る者を選ぶ映画なのかもしれない。
(A+)

小学館 BIG COMICS SPECIAL BCS4230 『星を継ぐもの 02』星野之宣 著 J・P・ホーガン 原作 を読む

本著は2011年に「ビッグコミック」誌で連載された作品を2011年に単行本として発刊したものである。
小説のコミカライズは難しい、この作家にしてもだ。
原作を読んだ時のイメージが頭の中にあるから、それを超える描画が必要になる。
絵だけ描いていればいいというものではない、小説を解釈し創造しなければならない。
原作のイメージが強烈だっただけに、この作品は苦しい作業を強いられている。
ただ、この作家の力量は素晴らしいだけに原作に一方的に敗れることはないだろう。
作品はまだまだ序盤、これからの展開に期待しよう。
(A)