sat's blog

2009/10/30

小学館 BIG COMICS 『高橋留美子劇場 3 赤い花束』高橋留美子 著 を読む

本著は2000~2005年に「週刊ビックコミックオリジナル」に掲載されたものを2009年に単行本として発刊したものである。

この作家も一時期ははまった。
出る作品、出る作品すべてを読みまくった。
しかし、『らんま1/2』で違和感を感じ、『犬夜叉』からは読んでいない。
でも、嫌いになったというのとは違うのである。

漫画作家は少年コミック誌でデビューしてからしばらくすると青年コミック誌に活躍の場を移す人が多い。
その方が合っているのか、元々は青年コミック誌で活躍したかった人なのであろう。

この作家は逆に、あえて少年コミック誌で活躍を続けている。
しかし、本著の作品のように短編作品として発表される青年コミック誌に掲載された作品にきらりと光るものを見つけたとき、この作家の少年コミック誌への作品に違和感を感じだしたのだ。

もっとこのような作品が読みたい、そう願っている。
(A)

小学館 BIG COMICS 『電波の城 9』細野不二彦 著 を読む

本著は2009年に「週刊ビックコミックスピリッツ」に掲載されたものを2009年に単行本として発刊したものである。

この作家はデビュー当時のコミカルな作品から、最近はシリアスな作品へと変貌した。
掲載される雑誌の性格に合わせてあるということなのだろうが、簡単にできることではない、力量が必要である。
一話完結の作品も多いのだが、この作品は長編である、まだまだ全体の半分には来ていないのだろう。
伏線、謎がまだまだ解明され始めていない。

とはいうものの、この作家のデビュー当時のようなコミカルな作品も読んでみたいな、とも思うのである。
(A)

小学館 BIG COMICS SPECIAL 『新ブラックジャックによろしく 7』佐藤秀峰 著 を読む

本著は2009年に「週刊ビックコミックスピリッツ」に掲載されたものを2009年に単行本として発刊したものである。

『ブラックジャック』『白い巨塔』など、医療の現場は作品化されることが多い現場だと思う。
それだけ人間の葛藤が渦巻いているのだろう。
もちろん本作品においてもそうである。

本作品では作者はぎりぎりのところで勝負をしている、真剣勝負である。
医療の現場の描き方に破綻はないし、人間ドラマとしても「次はどう展開するのだろうか」と心配しつつ引き込まれていく。

この作者はWebで新しい試みを始めた、コミックのオンライン直販売である。
作家が自分の権利を守るために始めた試みなのだが、成功してもらいたいものである。

そうした姿勢も作品作りの姿勢に表れているような気がする。
がんばってもらいたい作家の一人である、潰されないでほしい。
(A+)

2009/10/29

朝日新聞社 朝日文庫 あ29-1『青木雄二のナニワ資本論』青木雄二 著 を読む

本著は朝日新聞に連載されたコラムを2001年に文庫本として発刊されたものである。

カール・マルクスの『資本論』はそのボリュームも内容も膨大なもので、何回か挑戦したものの完読したことは残念ながらない。
本著は“資本論”の本質はそのままに、毒を持ちつつ現代の諸問題をわかりやすく解説している。
本著のような著名な作者がこのようなないような本を出すことは、青少年にも大きな影響を与えたのではないかと思う。

ちょっと内容が教条的かとも思うが、日本共産党はこのようなシンパをもっと回りに置く努力をすべきだろうと思う。

この著者が亡くなってしまったことは、非常に残念なことである。
(A+)

2009/10/28

ボーエン病と脂漏性角化症

ある日、右腕に痣上のものができていることに気がついた。
気になることは皮膚癌である。
最近はネット上に情報が氾濫しており、素人である私にもそれなりの“診断”をつけることは容易であった。

しかし、主治医の口から「ボーエン病」という事をが聞かされたときに、あるいは、という心配が頭を持ち上げた。
「ボーエン病」はかなりの確率で癌化する事が知られている。

新米医師からベテラン医師にチェンジしたとき、生検をお願いしたのは言うまでもない。

結果は「脂漏性角化症」、何の心配もない。
安心と信頼できる医師は、必要以上に心配すればいい。
その結果、検査で安心できれば問題がないのだから。

双葉社 ACTION COMICS 『レモン・ハート 25』古谷三敏 著 を読む

本著は2008年~2009年に「漫画アクション」に連載された作品を集め、2009年に単行本として発刊されたものである。

今や日本のマンガはさまざまな分野に広がり、玉から駄石まで氾濫している。
この作品は「玉」である。
"酒”を太郎冠者にして、さまざまな人間ドラマを展開させる、ベテランの作家にとってはなんでもないことなのかもしれないが、手馴れたものである。

酒にも様々なものにもドラマがある、きらりと光る小品なのかも知れないが、傑作だといっても間違いはないのである。
(A)

2009/10/25

Mamiya RZ67 PROII , EOS-1VHS を入手してしまった

Mamiya RZ67 PROII , EOS-1VHS を入手してしまった。

いまさらフィルムカメラではないだろうと思うのだが、ストレスが購買欲をあおったのだ。
ならば仕方がないではないか…。

しかも、かわいそうなくらい安い。
EOS-1VHS は現役のカメラなのである。
それが10分の1以下の値段とは…。

電子カメラであるから安いのだろうが、最後のフィルムカメラにこの仕打ちは…、どうなんだろう。

講談社 モーニングKC1837『ジパング 42』かわぐちかいじ 著 を読む

本著は2009年の「モーニング」誌上に連載され、2009年に単行本として発刊されたものである。

本著ではこの作品のうち、大きなものがいくつもなくなった。
戦艦大和、原子爆弾、ミライ、ミライの搭乗員、そして草加少尉である。
時間は最終巻であるという、かわぐちかいじ氏はどのようにこの物語をまとめるのであろうか。
興味心身なのである。
(A)

2009/10/14

早川書房 ハヤカワ文庫 JA963『敵は海賊・短篇版』神林長平 著 を読む

本著は、SFマガジン1981年4月号、同1999年9月臨時増刊号、書き下ろし、SFマガジン1984年11月号に発表され、2009年に文庫本として刊行された。

古いものでは約30年前の作品であるが、今読んでも古さを少しも感じないというのはすごいことである。
このシリーズは長編が多いのだが、この本は短編を集めてある。
約20年にわたる執筆期間を感じさせない、ぶれない作品の統一性は驚くべきものである。

作者の成熟とともに作品も難解になっているような気がしていた。
しかし、本著を読む限りにおいてそれは誤解でしかないことを改めて知らされた。
この作家は30年も前から現在まで一貫として質の高い作品を供給し続けているのだ。

ほぼ同世代の作家にひがみを感じてしまうのは、なさけない。
(A+)

2009/10/07

角川書店 角川文庫 あ10-12,23『新帝都物語 維新国生み篇 上・下』荒俣宏 著 を読む

本著は2007年に単行本として刊行され、2009年に文庫本として刊行されたものである。

本シリーズの最初の作品『帝都物語』をわくわくして読んだのはいつのことだっただろうか。
本来、敵役である「加藤保憲」という怪人に惹かれ、「加藤保憲」を読みながら応援している自分が不思議でならなかった。

第一シリーズである『帝都物語』でも、第二シリーズである『機関童子』でも、この『新帝都物語』でも怪人「加藤保憲」は反権力の立場におり、その権力の作った秩序を破壊しようとする、私にとっての“ダーク・ヒーロー”なのであるからして、感情移入が激しいのではないかと思う。

結果として「加藤保憲」の“野望”は、「加藤保憲」のよりどころとする平将門に裏切られ果たされることはないのだが、いつもどこかで「加藤保憲」を応援している自分に気がつくのである。

あり得ない話だが、『帝都物語2009』で“平成の政権交代”も書けるんじゃないかとも思うのである。

たぶん、『帝都物語』シリーズはこの先も続いていくであろう。
願わくば怪人荒俣宏氏よ、また存分に楽しませてほしい。