sat's blog

2010/01/29

小学館 BIG COMICS BC3008 『ダブル・フェイス 20』細野不二彦 著 を読む

本著は2009年に「ビックコミック」に連載された作品を2010年に単行本として刊行されたものである。

本作品の連載もいよいよ佳境に入ってきたようだ。
連載初期の「バラバラだったエピソード」が繋がり出し、大きな物語として流れ出したようである。
そうするとこの連載もあとわずかなのか、そう思うと少し寂しい。
(A)

2010/01/26

朝日新聞社 朝日文庫 ほ-1-33 『滅びゆくジャーナリズム』本多勝一 著 を読む

本著はさまざまな誌紙で発表された著者の記事を集め、1996年に発刊された。

本著に収録された記事の多くは著者が朝日新聞社を「退職」する前後に書かれた物であり、ある意味、後進のジャーナリストたる人たちへの、そして読者への“遺言”であるかのようだ。
この著者ほど“敵”に臆することなく、自らの信念をそのペンにたたきつけてきた人間は他にはいないのであろうと思う。
あえて敵を作るのではない、著者にとっての事実を書き連ねることによって“エセ愛国者”たる者たちがあの手この手で妨害を試みる。
しかし、この著者は一歩も引かず、堂々とペンの力で跳ね除けていく。
その理路整然とした手法にはすがすがしいものがある。

著者も残念ながらかなりの高齢となっている。
いつまでも元気でその言葉の矛を鈍らせないでほしいと思う。

2010/01/25

なんて文化度の低い国だ

写真家の篠山紀信氏が公然わいせつ容疑で書類送検されたという。
なんという文化に対し理解のない国なのかと恥ずかしく思う。
私はヌードに対して自ら撮ろうとは思わないが、憲法に保障されたように表現の自由は最大限保障されるべきものなのだ。
それを一部の“輩”からの「不快だ」という声をバックに、国家権力が規制するという、これを恐ろしいと思わないでどうするのか。

しかし、篠山紀信氏が「悪いことだと知りつつ撮影した」と報道されていることが本当だとするならば情けないことだと思う。
写真家として篠山紀信氏が“良い写真家”かどうかは知らないが、写真界に与える影響を考えて発言してもらいたい。
一応、“有名写真家”なのであるからその影響の大きさは計り知れない。
つまらぬ妥協、“反省”は裏切り行為でもあるのだと思う。

取り締まる側も、取り締まられる側も、なんと文化度の低いことか。
これが日本の現実なのだとすると情けなくて泣けてくる。

2010/01/22

講談社 アフタヌーンKC618 『新装版 ヨコハマ買い出し紀行 5』芦奈野ひとし 著 を読む

本著は1999年から2000年にかけて連載されたものを単行本化し、2010年に新装版として単行本化したものである。

作品の中でゆっくりとだがはっきりと時間が流れて行く、こうした雰囲気を持つ作品は珍しい。
子海石先生の女子高生の姿は驚きであるし、タカヒロとマッキの成長も象徴的である。
主人公であるロボットの人、初瀬野アルファや鷹津ココネ、丸子マルコたちの成長しない、時間が止まっている者たちとの比較は悲しく感じてしまう。
時間と共に流れて行くものと、時の流れを止まってみて行くもの、この物語が進めば進むほどより悲しさを増して行くのではないかと思う。
(A+)

2010/01/19

小学館 SUNDAY GX COMICS GXC198 『アスカ@未来系 2.0』島本和彦 著 を読む

本著は「月刊サンデーGX」に2009年から2010年にかけて連載されたものを、2010年に単行本として発刊したものである。

本著の刊行予告も見ると(完)の文字があり最終巻であることがわかる。
しかし、物語は収束どころか拡がりを見せている。
どうやら「打ち切り」のようである。

あまりのことに唖然とした。
これでは出版社も作者もあまりにも読者を馬鹿にしていることなるのではないだろうか。
プロの作家として、プロの出版社として不完全なものを読者に提供、いや、販売するというのは失礼な話であろう。
連載のときもどのようにこの物語を収集したのかわからないが、話を盛り上げかけておいていきなり「おわり」というのでは…。

これでは評価のしようがない、評価以前の問題である、誠に不誠実な話である。
作者や出版社のWebなどを追跡調査するにしても、現段階としては評価に値しないと言うしかない。

2010/01/18

PHP研究所 PHP文庫 は-17-1 『植物は不思議がいっぱい 自然を楽しむやさしい生態学』春日俊郎 著 を読む

本著は1992年に刊行された『砂漠のサボテンも本当は雨を待っている』(PHP研究所)を再編集・改題し、1997年に文庫本として刊行されたものである。

本著はこういった本に多い、小論文の積み上げ式の本であるから個々の問題について掘り下げが少なく物足りない感はぬぐえない。
それがわかっているなら、買わなければいいものなのだが。
もう少し各論を深く展開すれば面白いと思うのだが、初心者向きという事でこうしたのであろうか。
だとしたら申し越し読者の読解力・理解力を信じるべきであったろうと思う。
(B)

2010/01/12

新潮社 BUNCH COMICS 『コンシュルジュ 18』いしぜきひでゆき 原作 藤栄道彦 漫画 を読む

本著は2009年に「週刊コミックバンチ」に連載された作品を2010年に単行本として発刊したものである。

この作品もある意味“マンネリ”が進んでいたが、主人公の活躍の場所をアメリカ合州国に移して打開を図ったようである。
マンガだけではないが、連載が長引くと登場人物が増えてバリエーションを増やして誤魔化すのが常習化されている。
連載という形式を採る限り、いつ連載が終了するかわからないという“条件”がついて回る限りこの悪循環を断ち切るのは難しいと思う。

なかなかいい作品であるだけに、もう少し先を見越した長いスパンで見たストーリーを見てみたいと思う。
(A)

2010/01/11

ストレス大爆発!

新年早々ストレスが大爆発、クルマを買ってしまった。

ニッサン V36 スカイライン セダン 250GT、思いついてからたったの一日である。
この癖は直さないといけないと思うのだが…。

2010/01/06

ダイヤモンド・ビッグ社 地球の歩き方 『 思い出の昭和鉄道風景 2』種村直樹 著 を読む

本著は1972年から2008年にかけて「鉄道ジャーナル」「中央公論」に掲載されたルポルタージュ等を2009年に単行本として刊行されたものである。

実は本書は著者の種村直樹氏にいただいたものである、もちろんサイン本である。

「鉄道ジャーナル」誌の連載から引退され、続いて「旅と鉄道」誌からも勇退された。
しかし、まだまだ種村氏はやる気満々のようで安心している。
確かに齢70を超え、大病も2度経験している作者の健康は心配である。
しかし、ご本人に会うとそんなことは杞憂に思えてくる。

まだまだご活躍を期待したいと思っている一人なのである。
(A+)

2010/01/01

小学館 BIG COMICS SPECIAL BCS1019 『宗像教授異孝録 4』星野之宣 著 を読む

本著は2005年から2006年にかけて「ビッグコミック」誌で連載された作品を2007年に単行本として発刊したものである。

星野之宣氏は以前から気にしている作家であった。
ただ、あまりにもたくさんの作家に手を出してしまうと収拾がつかなくなるので手を出さなかったのだ。
『ヤマタイカ』の時なども危うく手を出しそうになったのだが、何とか手を出さないで来た。
今回、読んでしまったのは弟が「間違えて2冊買ってしまったから」という理由である、ああ、これでまた箍が外れた。

星野之宣氏の作家としての力量は充分承知しているつもりである。
初期のころのSF作品、そして伝奇モノのストーリー構成は並みのマンガ作家でないことを示している。
こうした力量を持った作家がそれほど“売れていない”のは何故なのであろうか。
やはりSF、伝奇モノは“売れない分野”なのであろうか。

そんなことではないと思いたいのであるが、星野之宣氏の力量を見せ付けられて他に原因が思いつかないのである。
(A+)

あけましておめでとうございます

謹賀新年 2010年元旦